微分方程式、フーリエ解析、複素解析、グラフ理論などの応用数学についての記事をまとめて紹介します。
微積分学と線形代数学を学部1年で学んだ上で、これらの内容の一部分を学部2-3年で学ぶことが多いでしょう。どの分野を重点的に学ぶかは、専攻分野次第です。
目次
常微分方程式
常微分方程式(ordinary differential equation,ODE)は、1つの変数に関する微分を含んだ関数に関する方程式です。物理、化学、生物学、経済学をはじめとして、常微分方程式を使った数理モデルは広く利用されています。特に1階、2階の線形方程式の解き方が基本的です。
物理ではべき級数解法を、工学ではラプラス変換を学ぶことが多いでしょう。
数理モデル
空気抵抗があるときの落下運動、終端速度とは:運動方程式を解く
おもりバネダンパ系:減衰振動の運動方程式、微分方程式の解き方
食う-食われるの数学:捕食者-被食者モデル(ロトカ・ヴォルテラ方程式)とは?
線形微分方程式
微分方程式の解でなぜ指数関数(exp・ネイピア数)が現れるか
同次形の2階線形微分方程式の解き方、学ぶ意味:熱方程式への応用を例に
線形微分方程式はなぜ指数関数e^{λt}と仮定して解いて良いか
非同次の2階線形微分方程式の解き方、未定係数法:強制振動を例に
べき級数解法、特殊関数、ストゥルム・リウビル型
ストゥルム・リウビル型微分方程式における固有関数の直交性の証明
ルジャンドルの微分方程式、多項式とは:べき級数法による求め方
フロベニウスの方法とは:ベッセル方程式、第一種ベッセル関数を例に
ラプラス変換
ラプラス変換の第一シフト定理(s推移法則)とは、証明、応用例
おもり2つのバネの運動方程式(連成振動):ラプラス変換による解き方
力学系理論、定性的理論
惑星の運動は数学的に「解けない」? 多体問題から力学系理論へ
方程式を解かずに、解の軌跡・安定性を調べてみよう 力学系理論入門
極限集合の性質を明らかにするポアンカレ・ベンディクソンの定理
カオス理論、バタフライ・エフェクトとは何か? ローレンツ・アトラクターを例に
フーリエ解析・偏微分方程式
常微分方程式は1次元的な問題を扱いますが、2次元や3次元的な問題を扱うと、偏微分を含んだ関数に関する方程式、偏微分方程式(partial differential equation, PDE)になります。偏微分方程式の中では、熱伝導方程式、波動方程式、ラプラス方程式が基本的です。
フーリエ解析(Fourier analysis)は、与えられた関数を三角関数の和:フーリエ級数として近似することについての分野です。もともとは熱方程式の解を求める中で生まれた手法ですが、電気や通信の分野などでも応用されています。
数理モデル
フーリエ級数
線形代数の応用:関数の「空間・基底・内積」を使ったフーリエ級数展開
フーリエサイン・コサイン級数とディリクレ・ノイマン境界条件の関係
矩形波とは:フーリエ級数展開の求め方、ギブス現象、ライプニッツの級数
フーリエ級数の収束条件:L^2収束、一様収束、不連続点での値
フーリエ係数の最良性とは:証明、ベッセルの不等式、パーセバルの等式
一般フーリエ級数とは:フーリエ・ルジャンドル級数、フーリエ・ベッセル級数を例に
偏微分方程式の解き方
熱方程式の解き方:変数分離法、フーリエ級数展開(1次元、有界領域)
複素解析
複素解析(complex analysis)は、複素変数の関数の微積分などに関する分野です。日本では関数論と呼ばれることも。
オイラーの公式によって、三角関数の情報を指数関数として簡単にまとめることができます。これはフーリエ解析、回路や通信の分野で応用されるものです。複素積分や留数の理論は、難しい実積分の計算を可能にし、ラプラス変換とも関係します。
調和関数、等角写像の理論、ポテンシャル論は、実平面のポテンシャルの問題を複素平面の問題に持ち込み、流体力学など流れの分析に役立ちます。
複素関数、級数、微分
べき級数の収束発散が円盤によって分かれること:収束半径の性質
オイラーの公式、極形式、ド・モアブルの定理とは:複素指数関数、三角関数の性質
複素関数の主値、多価関数・一価関数とは:平方根、ルートを例に
複素積分、留数
コーシーの積分公式とは、計算例と応用(無限回微分可能、コーシーの不等式)
ローラン展開とは:求め方、孤立特異点の分類(極、除去可能特異点、真性特異点)
調和関数、等角写像、ポテンシャル論
中心のずれた円環領域におけるポテンシャルの求め方:線形分数変換の応用
流体の複素ポテンシャル、速度ポテンシャル、流れ関数、流線とは
グラフ理論
グラフ理論(graph theory)におけるグラフは、鉄道の路線図や、電気の回路、コンピュータのネットワークを表し、分析するために使われます。いわゆる「関数のグラフ」とは別物です。
一筆書きの問題、オイラーの多面体定理、四色問題、巡回セールスマン問題などが有名ですね。
微分方程式を使ったモデルは連続的ですが、これに対してグラフを使ったモデルは離散的です。離散的な対象を扱う数学は、離散数学(discrete mathematics)とも呼ばれています。
なぜ線形代数を学ぶ? Googleのページランクに使われている固有値・固有ベクトルの考え方
重み付きグラフ、最小全域木の問題とは? クラスカル法による解き方
数理最適化、線形計画法
執筆中。
数値解析、数値線形代数
執筆中。
ルンゲ=クッタ法:常微分方程式をPythonで解く原理を解説
確率、統計、データ分析
執筆中。
Pythonで統計量関数(平均、中央値、分散、相関係数)を作り、可視化しよう
教科書
Advanced Engineering Mathematics
John Wiley & Sons Inc (2011-05-03T00:00:01Z)
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