大学数学を独学するための方法・考え方

どうも、木村(@kimu3_slime)です。

大学数学を独学したい。大学入試を終えて入学前の僕は、独学にチャレンジしてみましたが、うまくいきませんでした

結果、大学に入り数学科へ進んでから、だんだんと大学数学の独学のやり方・考え方がわかってきました。そのポイントをかいつまんで紹介します。

 



自分なりのテーマを探そう

まず、「大学数学」とは何か? どんな分野があるかをロードマップで確認しておきましょう。

大学数学のロードマップ ~ 分野一覧と学ぶ順序

言葉の意味はわからなくて問題ありません。図書館で数学の棚へ行き、これらのキーワードの本をパラパラとめくってみましょう。中には興味を持てるものが見つかるかもしれません。

当サイトでも多くの本を紹介しています。本や映画から、これができたら楽しそうだな、カッコいいな、といったテーマを見つけてみてください。

参考:Kindle Unlimitedで読み放題、おすすめの数学本を紹介「趣味の大学数学」おすすめ教科書・参考書・入門書

 

数学書の読み方を知る

僕が大学数学を学び始めようとしたときにつまづいたのが、大学数学の本の読み方です。

高校までの数学は、公式を覚えて計算できれば良い、という印象がありました。大学数学の本では、公式は「定理」と呼ばれ、その定理を「定義」から「証明」していくことに重点が置かれています

参考:大学数学の教科書の読み方、最初に「定義・命題・証明」を知ろう

つまり、論理学の言葉で書かれた命題を読み解く能力が求められます。大学数学でどの分野を学ぶにせよ、まずはじめに論理学の本を読んでみると良いでしょう

参考:論理学は大学数学のためだけでなく、教養として身につけたい

特に、集合と写像(関数)、論理の話は、教養数学の教科書でも最初に書かれていることが多いです。数学の「言葉」の約束を知らなければ、本は読み解きにくいでしょう。教科書の中身がわからないときは、出発点を確認してみてください。

参考:「AならばB」のよくある誤解から学ぶ、論理学入門(対偶、逆、否定、真偽表)集合論のはじまり、全称命題と存在命題、論理記号を知ろう

 

アウトプットの場を作る

本をじろじろ眺めているだけでは、いくら時間をかけても数学は身につきません。

ノートとペンを用意し、本に書いてあることの計算を確かめたり、具体例を作ってみたりしてみましょう。本に書いてあることで「わからない」ことを発見し、自覚していくことが大事です。

参考:数学の学びを深めるために必要なのは、「わからない」と言える力

Twitterアカウントを作り、勉強記録をつけたり、わからないことをメモするのも良いでしょう。数学用アカウントを作っても良いですし、普通のアカウントでちょっと数学の話題をしてみたり。数学関係のアカウントをフォローし、交流する過程で耳学問ができます。数理科学関係の人を集めた、個人的に作ったリストを参考にしてみてください。(興味があれば、僕のアカウント@kimu3_slimeをフォローしてね)

何かしら数学関係の文章を、ネットにアップするのも勉強になります。情報を発信すれば、その話題に関心がある人が興味を持ってくれます。数学特化の情報共有サービスMathlog、TeXの使えるはてなブログはおすすめです。僕自身、「趣味の大学数学」で記事を書くこと自体が、数学の勉強になっています。

もし数学を学ぶ仲間、近い分野を学んでいる人がいたら、一緒に本を読む会、セミナー(ゼミ)・輪読会をすると良いでしょう。お互いに勉強したことを発表するのは、緊張するかもしれませんが、数学力を大きく伸ばすきっかけとなるでしょう。

 

高校レベルの数学をおさえる

大学数学の教科書は、当たり前ですが高校数学の内容を前提としています。

しかしながら、高校レベルの数学は、全部は知らない人の方が多いのではないでしょうか。僕の知り合いで大学数学を学びたい人でも、受験科目でなかった人や、時間が経って忘れてしまった人の方が多いです。

高校レベルの数学の理解度としては、大学入試センター試験(共通テスト)の数学で、8割の得点が取れるくらいの力が欲しいです。試験の制限時間以上の、時間をかけて良いので。

大学数学の本を読むために必要な高校数学の内容をリストアップしておきます。1年生で教えられる教養数学である、微積分学・線形代数学・統計学、そして大学数学の基礎である論理学・集合論についてです。

 

微積分学

【数学Ⅰ】数と式、2次関数、図形と計量(三角比)

【数学Ⅱ】三角関数、指数関数・対数関数、微分と積分

【数学B】数列

【数学Ⅲ】極限、式と曲線、複素数平面、微分、積分

 

線形代数学

【数学Ⅰ】数と式

【数学Ⅱ】図形と方程式

【数学B】ベクトル

【数学Ⅲ】行列

行列の単元は、線形代数学の入門編です。2012年度から2021年度までは存在しませんでした。2022年度から復活します。内容はWikiBooksに書かれている程度を想定しています。

入門記事を書きました:線形代数学「ベクトル」を高校数学レベルで解説

 

統計学

【数学Ⅰ】データの分析

【数学B】統計

 

論理学・集合論

【数学Ⅰ】数と式

【数学A】集合と論理

【数学Ⅱ】式と証明

 

高校レベルの数学をおさえるためには、書店で数学の参考書を買うのが良いでしょう。自分に合いそうな、わかりそうなレベルのものからです。

教科書レベルの基礎問題がきちんと解けることが大事です。例えば、黄チャートは定番の参考書としておすすめ。難関大学の入試に合格することは目的ではないので、黃チャートレベルを理解しましょう。

問題集形式ではない本もあります。僕が書店で見た感じでは、「大人のための数学勉強法」はコンパクトに高校3年の数学をまとめつつ、教科書的な内容以外の応用に踏み込もうとする意気込みがあって良いと思いました。

 

大人のための数学勉強法
ダイヤモンド社 (2014-01-27)
売り上げランキング: 26,141

 

大人のための中学数学勉強法
ダイヤモンド社 (2014-01-27)
売り上げランキング: 118,742

大学の教養数学として最初に学ぶことになる微積分学、線形代数学については、次のブルーバックスの本はイメージをつかむのに良いでしょう。

 

「超」入門 微分積分 (ブルーバックス)
神永 正博
講談社
売り上げランキング: 13,815

 

マンガ 線形代数入門 (ブルーバックス)
北垣 絵美
講談社
売り上げランキング: 16,388

 

 

 

大学数学を独学しようとすると、わからないことがたくさん出てくると思います。数学は積み重ねの学問で、わからないまま進むと、本にいくら時間をかけても1ミリも理解できません。わかりやすい本を使い、わかる段階まで戻りながらじっくりと進んでいきましょう。

参考:「趣味の大学数学」おすすめ入門書籍・教科書・参考文献

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。