指を使わない計算・暗算の方法、ミスの減らし方:5、10への数の分解

どうも、木村(@kimu3_slime)です。

子供が始めて計算を学ぶとき、指を使うことが多いのではないでしょうか。実際、計算の苦手な子に説明するとしたら、指を使います。指を使って計算することは、全く悪いことではありません。

しかし、僕自身の学びを思い出すと、始めから指を使わないやり方で計算に慣れていきました。今回は、僕なりの指を使わない計算・暗算の方法を紹介します。

 



5か10を基準にし、数を分解する

僕が計算・暗算のときに意識していることは、難しい数を簡単な数に分解するということです。例えば、

\[ \begin{aligned}6=5+1\end{aligned} \]

\[ \begin{aligned}7=5+2\end{aligned} \]

\[ \begin{aligned}8=5+3\end{aligned} \]

\[ \begin{aligned}9=5+4\end{aligned} \]

\[ \begin{aligned}10=5+5\end{aligned} \]

といったように。\(1,2,3,4,\dots\)と日常的に何かものを数えていると、数と数がどれだけ離れているかがすぐに思い浮かぶようになります。

計算では10進法、つまり10を基準にして桁=まとまりを考えます。ただし、何と何を合わせると10になるか、という計算は最初のうちは難しいでしょう。そこで、まずは\(10=5+5\)と考えて、\(5\)や\(10\)を基準に他の数を分解してみることです。すると、

\[ \begin{aligned}5+6 =5+5+1\\=10+1=11\end{aligned} \]

\[ \begin{aligned}7+8=5+2+5+3\\ =10+2+3=15\end{aligned} \]

といった調子で繰り上がりの計算ができるようになります。繰り上がるというのは10を作ることですが、10を作るには5を基準とすると良いでしょう。

実際、これはお金・支払い・お釣りの計算をする中で培いやすいものです。小さなお金の単位、小銭には、1円、5円、10円玉があります。10円玉は5円2枚分です。\(6,7,8,9\)という数は少し複雑ですが、5円玉+1円玉が1~4個と考えると、まとまりが意識しやすくなります。お釣りや両替の計算を普段からしていると、計算が得意になるでしょう。

 

5や10を作る、5、10を分解するという考え方は、引き算にも有効です。

\[ \begin{aligned}5=1+4\end{aligned} \]

\[ \begin{aligned}5=2+3\end{aligned} \]

\[ \begin{aligned}10=1+9\end{aligned} \]

\[ \begin{aligned}10=2+8\end{aligned} \]

\[ \begin{aligned}10=3+7\end{aligned} \]

\[ \begin{aligned}10=4+6\end{aligned} \]

\[ \begin{aligned}10=5+5\end{aligned} \]

といった分解を意識し、即座に思い出せるようにしてみましょう。すると、引き算はやりやすくなるはずです。5から3を取ったら、2+3=5だったから残りは2。10から4なら6がペアだった、といった調子で。繰り下がりの計算が苦手な場合、まずは10の分解に慣れましょう。

10の分解に慣れれば、さらに進んだ問題も解きやすくなります。例えば、

\[ \begin{aligned}17-8 = 10+7-8\\=2+7 =9\end{aligned} \]

といった調子です。頭の中で、8+2は10、10+7は17、必要なのは2,7だったから2+7=9が答え、と計算しても良いでしょう(僕はこのやり方です)。引き算と考えると難しいので、8にいくつ足せばいいかという足し算の問題に置き換えています。

 

もう少し大きな数の計算でも、5や10を作り出すことで計算を簡単にしています。

\[ \begin{aligned}15+28 =15+ 30-2 \\=45-2=43\end{aligned} \]

\[ \begin{aligned}1005-52 =1000-50+5-2\\ =950+3=953\end{aligned} \]

といった調子です。おおざっぱに10や5を作り出してその部分を計算し、残りは小さな数の計算なので計算して、最後に結果を合わせます。

 

計算ミスの減らし方

暗算、紙に書いた計算に限らず、計算ミスはありがちなものです。僕はそれを減らすために、3つの考え方を使っています。

 

桁チェック

大きな数や小さな数の計算において、一番下の桁の数字が多少ずれるより、全体として桁数がずれる方が大きな問題です(誤差が大きい)。

\(1005-52\)で、答えが\(53\)となったらその時点ですぐにおかしいと気付けないといけません。それを見抜くには、おおざっぱに計算する(概算する)ことです。

つまり、細かい違いをできるだけ無視して、簡単な計算に変形してしまうのです。おおざっぱに\(1000-100\)という問題だと捉えれば、答えは\(900\)に近いとわかりますね。この手順には、四捨五入や丸めの考え方が役立ちます。

とにかく難しい計算をしようとせず、簡単な計算にして、答えを見積もるのは非常に重要な考え方だと思います。答案には書かれていない、指導されないことが多いと思いますが、最初に大雑把に見積もっておくと、計算ミスが減らせるだけでなく、精密な計算の結果にも自信を持ち素早く計算できることにつながるでしょう。

参考:近似値を正確に:指数記法と有効数字、丸めとは何か

 

大小チェック

桁のチェックと似ていますが、計算前の数字と計算後の数字の大きさを比べて、変な結果になっていないか確認するのは大事です。

\(a,b\)を正の数とするとき、\(a+b\)は\(a,b\)より大きいです(\(a+b \geq a\))。\(a-b\)は\(a\)より小さいです(\(a-b \leq a\))。

\(a\times b\)はどうでしょうか。これは\(b\)が1より大きいかどうかによって変わってきます。\( b\geq 1\)ならば、\(a\times b \geq a\)です。\(b<1\)ならば、\(a\times b < a\)です。少数や分数、割合や百分率の計算をするときは、かける数が1より大きいかどうかを意識する必要があるでしょう。

割り算だとこの関係は逆になります。\(b \geq 1\)ならば、\(\frac{a}{b} \leq a\)です。\(b<1\)ならば、\(\frac{a}{b} >a\)です。結果は大きくなるはずなのか小さくなるはずなのか、どちらか意識すると変な計算ミスを減らせるでしょう。

負の数、マイナスの計算では、さらに符号を意識する必要があるでしょう。その段階に進むためにも、まずは正の数同士の計算でも大小の感覚を養っておくと良いと思います。

 

偶奇チェック

精密な計算をしたいときは、偶数奇数のチェックはコスパが良いです。

\(1512+1005\)で、\(2516\)となっていたら何か変だとすぐに気付けるようになると良いでしょう。

ある数が偶数か奇数かは、下一桁の数字を見ることで見抜けます。\(0,2,4,6,8\)が偶数で、\(1,3,5,7,9\)が奇数です。また、偶数同士の和、奇数同士の和は偶数で、偶数と奇数の和は奇数になります。足し算・和でなく引き算・差でも同様です。

参考:偶数、奇数の見分け方(1の位)とその証明

したがって、\(1512+1005\)という式を見たら、これは偶数+奇数の計算だから、結果は奇数でないとおかしいとすぐに想定できます。つまり、結果の下一桁は\(1,3,5,7,9\)が出てこないとおかしい、だから偶数の結果\(2516\)はありえないと判定できます。

このくらいの計算なら間違えることはないかもしれませんし、偶奇だけですべての計算ミスを見抜けるわけではありませんが、偶数奇数のチェックは計算ミスの見直しに効率的です。

 

以上、指を使わない計算の方法として5,10への数の分解、計算ミスの減らし方を紹介してきました。

今回は暗算を想定していますが、紙の上で途中式を書いて精密に計算する方法も慣れると良いでしょう。

計算が得意になるには、やはり普段から、日常で数を数えたり計算して慣れるのが大事だと思います。ぜひ5や10への分解を活用してみてはいかがでしょうか。

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。

 

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