ならば(含意)の推移律(三段論法)の真理値表による証明

どうも、木村(@kimu3_slime)です。

今回は、ならば(含意)の推移律の証明を紹介します。

前提知識:記号論理、命題論理入門:覚えるべき論理記号(否定、かつ、または、ならば、同値)とは

 

ならばの推移律とは、命題\(A,B,C\)について、「「AならばB」かつ「BならばC」」ならば「AならばC」が成り立つことです。

ならばを\(\Rightarrow\)、かつを\(\land\)、またはを\(\lor\)という記号で表せば、示したいことは

\[((A\Rightarrow B )\land (B \Rightarrow C) )\Rightarrow (A\Rightarrow C) \]

が常に成り立つことです。

 

当たり前に見える話ですが、「ならば」の定義に戻って示していきましょう。

\(A \Rightarrow B\)とは、\(\lnot A \lor B\)のことです。仮定\(A\)が成り立たないか、そうでない(つまり仮定\(A\)が正しい)ならば必ず\(B\)が正しいことを意味しています。

\(A,B,C\)の真偽(T、F)がいずれであっても、常に正しい命題となることを、真理値表によって確認しましょう。

\(A\)\(B\)\(C\)\(A\Rightarrow B\)\(B \Rightarrow C\)\(A\Rightarrow C\)\(((A\Rightarrow B )\land (B \Rightarrow C) )\)\(((A\Rightarrow B )\land (B \Rightarrow C) )\Rightarrow (A\Rightarrow C)\)
TTTTTTTT
TTFTFFFT
TFTFTTFT
TFFFTFFT
FTTTTTTT
FTFTFTFT
FFTTTTTT
FFFTTTTT

「ならば」の仮定(前提)がFのケースは、結論がTFいずれにせよTとなることに注意して書けば、この結果が導けます。

上の真理値表より、示したい命題は常に正しいことがわかりました。

 

以上、ならば(含意)の推移律の証明を紹介してきました。

複数の命題の同値「A⇔B⇔C」はサイクル「A⇒B⇒C⇒A」と同値であることの証明においても、基本的な推論として「ならば」の推移律を用いています。

これは三段論法の基礎ともなる性質ですが、今回のように形式的に証明できることも知っておくと良いでしょう。

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。

 

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