ポアソン分布の歪度・尖度の求め方:モーメント・キュムラント生成関数

どうも、木村(@kimu3_slime)です。

今回は、ポアソン分布の歪度・尖度の求め方について、モーメント・キュムラント生成関数を使った方法を紹介します。

 



ポアソン分布のモーメント生成関数

まず、\(X\)を単位時間あたりの発生頻度\(\lambda\)のポアソン分布\(\mathrm{Poisson}(\lambda)\)として、そのモーメント生成関数を求めましょう。

 

ポアソン分布の確率質量関数は

\[f(k)= e^{-\lambda }\frac{\lambda^k}{k!}\]

\(k=0,1,2,\dots\)なので、モーメント生成関数は

\[\begin{aligned} M_X(t) &= E(e^{tX})\\&=\sum _{k=0}^\infty e^{tk} e^{-\lambda }\frac{\lambda^k}{k!}\\&=e^{-\lambda} \sum _{k=0}^\infty \frac{(\lambda e^{t})^k}{k!} \\&=e^{-\lambda}\exp(\lambda e^{t}) \\&= \exp(\lambda e^{t} -\lambda)\end{aligned}\]

となります。\(\exp\)は指数関数であり、そのテイラー展開

\[\exp(x) =\sum_{k=0}^\infty \frac{x^k}{k!}\]

を用いました。

 

ポアソン分布の歪度・尖度

したがって、ポアソン分布のキュムラント生成関数は

\[\begin{aligned} K_X(t)&=\log (M_X(t)) \\&= \lambda e^{t} -\lambda \end{aligned} \]

となるので、その微分は

\[\frac{d^n}{dt^n}K_X(t) =\lambda e^{ t}\]

であり、キュムラントは

\[\kappa_n = \frac{d^n}{dt^n}K_X(0)=\lambda\]

\(n=1,2,\dots\)となります。

 

よって、歪度・尖度とキュムラントの関係式から、

\[V(X) = \kappa_2 =\lambda\]

\[\begin{aligned} \frac{E((X-E(X))^3)}{(\mathrm{Std}(X))^3} &= \frac{\kappa_3}{(\mathrm{Std}(X))^3} \\&= \frac{\lambda}{\lambda^{\frac{3}{2}}} \\&= \frac{1}{\sqrt{\lambda}}\end{aligned}\]

\[\begin{aligned} \frac{E((X-E(X))^4)}{(\mathrm{Std}(X))^4}-3 &= \frac{\kappa_4}{(\mathrm{Std}(X))^4} \\&= \frac{\lambda}{ \lambda ^2}\\&= \frac{1}{\lambda}\end{aligned}\]

と求めることができました。

 

いくつかのパラメータについて、ポアソン分布の確率質量関数を描いてみます。

歪度は\(\frac{1}{\sqrt{\lambda}}\)なので、\(\lambda\)が大きくなるほど0に近づいていきます。実際、\(\lambda=1\)では左側への偏りが大きく、\(\lambda=10\)では左右対称に近づいています。

尖度は\(\frac{1}{\lambda}\)であり、同じく\(\lambda\)が大きくなるほど0に近づいていきます。\(\lambda=1\)では平均値付近の比重が大きく尖っていますが、\(\lambda=10\)では裾の比重がより大きくなっています。

\(\lambda\)を大きくするとポアソン分布の歪度・尖度は、正規分布の歪度・尖度(ともに0)に近づいています。これはポアソン分布の\(\lambda \to \infty\)での極限が正規分布である、という結果に対応するものです。

 

以上、ポアソン分布の歪度・尖度の求め方について、モーメント・キュムラント生成関数を使った方法を紹介してきました。

歪度・尖度の考え方は、正規分布と比較してみるとわかりやすいですが、その例としてポアソン分布は計算しやすくて良いですね。

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。

 

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