なぜ移項すると符号が変わるのか 方程式・等式の意味を考え直す

どうも、木村(@kimu3_slime)です。

中学校の数学では、方程式の解き方を学ぶでしょう。\(x+2 =8\)という方程式を解くために、左辺の\(2\)を右辺に動かす\(x= 8-2\)操作は、移項と呼ばれます。

移項をすると、プラスだったものがマイナスに、マイナスだったものがプラスにと、符号が変化します。

なぜこんなルールになっているのでしょうか? 今回は、方程式や等式の意味をさかのぼって、わかりやすく紹介します。

 

等式とは釣り合いの式である

移項の原理を理解するには、イコールを含む式、等式(equality)の意味を知っておくことが大事です。

例えば、小学校では

\[6 +2 =8\]

という計算を学んだかと思います。これは\(6+2\)の計算結果は\(8\)である(6たす2は8)と読んだのではないでしょうか。中学校の数学では、イコールを単に左から右への計算結果と捉えるのでなく、もう少し広い視点で捉えています。

つまり、\(6+2\)という表現と、\(8\)という表現は、数として等しい(=)という主張を意味しているのです。左側と右側は釣り合っている、と言っています。数の大きさを重さと捉えたとして、天秤やシーソーでバランスが取れている状態を表しているのが、等号\(=\)です。

釣り合った天秤において、同じ重さを両側から取り去ったら、釣り合いは取れたままになりますよね。数についても、その法則は成り立っています。

\[6+2 -2 = 8-2\]

左辺と右辺を整理してあげましょう。\(2-2 =0\)、\(8-2=6\)なので、結果としては

\[6 = 8-2\]

という等式も成り立つことがわかりました。

 

両辺に違う数を足し引きすると、もとが等式であっても、等式ではなくなってしまいます。\(6+2 =8\)の左辺から\(2\)、右辺から\(5\)を引くと、

\[6 =3\]

これは成り立ちません(間違った式)。正しいと言えるのは、\( 6 \neq 5\)です(\(6\)と\(3\)が等しくない)。より詳しくは、\(6\)は\(3\)より大きい

\[6>3\]

という大小関係が成り立ちます。このような式を不等式といいます。

不等式では、左辺と右辺のどちらか一方が大きくバランスが取れてない状態を表しますが、等式はバランスが取れている状態を意味しているのです。

何か当たり前のことを言っている感じがしますか? そうです、移項とはその当たり前(に見える)操作を行った結果なのです。

 

方程式を解くための移項

\[x+2 =8\]

という式は、方程式と呼ばれます。方程式は、釣り合いの式=等式の一種です。\(x\)を具体的な数に置き換える(代入)とき、釣り合いが取れるような\(x\)を見つけなさい、というのが方程式の問題です。

この程度の簡単な問題なら、\(x=6\)でしょ、と移項をせずとも解けてしまいます。実際、\(x\)を\(6\)に置き換えると、左辺は\(6+2=8\)で、右辺と等しくなるので、方程式の解は\(x=6\)である、と回答に書いて良いでしょう。

ただし、解を見つけるのは、方程式の形が複雑になってくると、難しくなっていきます。そこで、方程式をバランスを保ったまま変形する方法を考えたくなるわけです。そのひとつが、移項です。

方程式の両辺から、ともに2を引いてみましょう(\(-2\)を加えると言っても良い)。これは等式なので、両辺から同じ数を引いたり足したりしても、等しいという関係は変わらないわけです。すると、

\[x+2 -2= 8-2\]

という等式が得られます。左辺を計算すると、\(x+2-2=x+0=x\)で、右辺は\(8-2=6\)となり、

\[x=6\]

という式が得られました。バランスを保ったまま、\(x=\)という形が得られたので、これが方程式の解です。

実際、\(x=6\)という等式から出発して、両辺に\(2\)を加えるという逆の手順をたどれば、\(x+2 =8\)という式に戻れます。\(x=6\)という解が、方程式\(x+2 =8\)を満たしている理由がわかりますね。

 

\(x+2 =8\)の両辺に\(-2\)を加えることで、\(x=8-2\)という式が得られていました。結果だけ見ると、左側にあった\(+2\)が、右側に動かすと\(-2\)になっています。これが移項と呼ばれる操作です。

プラスの項を消すためには両辺にマイナスの項を加えるので、反対側の辺にマイナスが登場します。マイナスの項を消すためには両辺にプラスの項を加えるので、反対側の辺にプラスが登場します。これが移項によって符号が変化、逆になる理由です。

 

僕は、「移行すると符号が変わる」という結果だけ覚えないほうが良いと思います。バランスが取れた式に、同じ数を引いたり足したりすると、バランスが取れたままになる。

つまり、\(x +a =b\)は、両辺に\(-a\)を加えると、\(x+a-a=b-a\)となる。これを整理すれば\(x=b-a\)が得られる。こう考えれば、ごく当たり前のことをしていると感じられるでしょう。等式を変形していくための当たり前のルールは、等式の性質と呼ばれます。

\(a,b,c\)を数(実数)とする。

\(a=b\)ならば、\(a+c=b+c\)が成り立つ。

\(a=b\)ならば、\(a-c=b-c\)が成り立つ。

\(a=b\)ならば、\(ac=bc\)が成り立つ。

「\(a=b\)、かつ\(c \neq 0\)」ならば、\(\frac{a}{c}=\frac{b}{c}\)が成り立つ。

両辺が等しい式\(a=b\)があるとき、それに同じ数\(c\)を足したり引いたり掛けたり割ったりしても、等しい式のままである。そう考えれば、これは頑張って覚えるような難しい性質ではありません。

 

移項ではありませんが、この考え方を使って、\(4x =11\)を解いてみましょう。

両辺に\(\frac{1}{4}\)を掛けても(\(4\)で割っても)、等式は保たれます。したがって、

\[\frac{1}{4} \times 4x =\frac{1}{4}\times 11\]

です。左辺は、\(\frac{1}{4}\times 4 x =1 x =x\)で、右辺は\(\frac{11}{4}\)となるので、

\[x = \frac{11}{4}\]

が得られました。これが\(4x=11\)の解です。

 

以上、移項によってなぜ符号が変わるのかについて、等式や方程式の意味を踏まえて解説してきました。

イコールを使った式、等式は左右が釣り合っている状態を表している式である。バランスが取れている式に、同じ数を加減乗除しても関係は保たれる。その結果として、移項ではプラスマイナスが反転しているように見える。ここまでわかっていれば、方程式の分野での疑問は解消されるのではないでしょうか。

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。

 

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