方程式の解とは? 等式・変数、方程式・恒等式について解説

どうも、木村(@kimu3_slime)です。

中学からの数学では、方程式の解という言葉が登場します。しかし、それが何なのか、なんとなくは聞きますが、きちんとした説明を聞いた記憶が僕にはありません。

そこで、今回は方程式の解とは何かを簡単に述べ、その後、より詳しく、数式、等式とは何か、方程式と恒等式の違いなどを紹介したいと思います。

 

方程式の解とは?

例えば方程式\(2x =x+3\)について、「この方程式の解は\(3\)である」というような言い方をします。

\(a\)を特定の数とします。\(x=a\)が方程式\(2x =x+3\)の解であるとは、\(x\)を\(a\)に置き換えた等式\(2a=a+3\)が成り立つことです。\(x\)に\(a\)をあてはめる、代入する、特定の値を定めるとも言い換えられるでしょう。\(a\)が解であることは、\(a\)は方程式を満たす、とも言います。

等式が成り立たないときは、\(x=a\)はその方程式の解ではないといいます。

\(x=3\)は\(2x=x+3\)の解です。なぜなら、\(x=3\)のとき左辺は\(2x=6\)、右辺は\(x+3=6\)で、両辺が等しい(等式が成り立つ)からです。\(x=6\)は解ではありません。左辺は\(2x=12\)、右辺は\(x+3=9\)で、両辺は等しくない\(12 \neq 9\)からです。

「\(6\)がこの方程式の解だと思う」誤答は、とりあえず計算して出てきた左辺の値や右辺の値を「答え」だと思うことにより生じているのかもしれませんね。問われているのは、\(x\)に何の数字をあてはめるとその等式が成り立つか、ということです。

教科書ではしばしば、「\(2x=x+3\)の両辺に\(-x\)を加えて、\(x=3\)が解である」という議論をします(移項)。これは解がわかりやすい形にするための等式の変形です。しかしこの変形を行わなくても、最初の形\(2x=x+3\)を満たす特定の値\(x=a\)のことを、解と呼ぶことにしています。

 

数学における「この方程式を解け、解を求めよ」という問題は、その方程式を満たすすべての解を求めよ、という問題であることに注意しましょう。

1次方程式の解は、(存在すれば)ただひとつであることが知られています。一方で、2次方程式の解は、一般には2つ存在します。例えば、\(x^2=1\)の(すべての)解は、\(x=1\)または\(x=-1\)です。

問題の答え、回答という意味で、「解」という概念を捉えてしまうと、混乱するでしょう。学校の算数・数学においては、答えは数字である(存在し、それがただひとつである)ような問題をよく考えます。

しかし、方程式の解は、いつでも存在する保証はありませんし、存在しても1つではない(2つ以上ある)ケースもあります。例えば、方程式\(0x=1\)の解は存在しません。どんな数\(x\)を考えても、常に\(0x=0\)で、等式は成り立たない\(0 \neq 1\)ので。これを「解なし」と呼んだりします(良い呼び方だとは思いませんが…)。「方程式の解が存在しない」ということは、「答えがない」のではなく、「解を持たない」というのが回答です。

 

等式・変数とは何か

方程式という言葉について正確に理解するには、まず等式や変数について知っておく必要があるでしょう。

等式(equality)とは、等号\(=\)を使って左辺と右辺の指すものが等しいと述べた文章のことです。あらゆる等式は、正しいか正しくないかが定まっています(命題)。数学において\(a=b\)と書くときは、「\(a=b\)が正しい」と主張しているのです。

例えば、\(1+2=3\)や\(0=1\)はどちらも等式です。前者は正しい(真である)等式で、後者は誤った(偽である)等式です。

(「a=bのように左辺と右辺が等しい式を等式といいます。」という説明が見られることがありますが、この言い方は微妙です。「等しい式」でなく「等しいと述べる式」という方が妥当でしょう。等しい式を等式と呼んだら、等式が「成り立つ」とはどういうことなのか、二重になってまぎらわしくなります。)

 

等号の左辺や右辺に登場する文字列は、数式(mathematical expression)と呼ばれるものです。例えば、\(0\)や\(1\)といった数字は数式ですし、数を加減乗除の記号でつないだ\(1+2\)も数式です。数式の構成パーツは、(term)と呼ばれています。

 

中学校以降の数学では、等式を構成する数式のパーツとして、具体的な数だけでなく、\(x,y\)のような数学記号・文字式(mathematical symbol)が登場します。

この記号は、特定の数を表していない、変わりうる数を表すものとして、変数(variable)と呼ばれます。

例えば、\(2x=1\)という等式を考えましょう。これは\(x\)が何を指すのか(\(x\)の値が何であるのか)決まっていなければ、正しいとも間違っているとも言えません。\(x=0\)ならば\(2x=1\)は正しくないですし、\(x=\frac{1}{2}\)ならば\(2x=1\)は正しいです。\(x\)を特定の数で置き換えることを、代入(substitution)と呼びます。

\(x\)が何を指すか決まっていない、変化しうる状態であっても、\(2x\)という数式や\(2x=1\)という等式を考えることはできます。変数という考え方を導入することで、不特定多数の、一般的な形をした等式について考えられます。

ひとつの記号(変数)には、ひとつの値(何らかの数)が定まっているもの、と考えています。\(x=1\)かつ\(x=2\)ということはありえません(\(x=1\)とすれば、等式\(x=2\)は誤り)。変数の記号には、\(x,y\)といった記号がよく使われますが、何の記号を使っているかは本質ではありません。\(2x\)のことを、\(2\square \)と書こうが、\(2(エックス)\)と書こうが、(伝われば)意味は同じになります。

(\(2x\)や\(x^2+1\)のように、変数を使って表される数式は、多項式 polynomialと呼ばれます)

 

方程式と恒等式の違い

変数を等式は、おおざっぱに方程式と恒等式に分類されます。

 

等式を方程式(equation)と呼ぶときは、その等式を成り立たせる特定の変数の値は何か(それは存在するか、いくつあるか)という問題を考えています。

例えば、\(2x=1\)を方程式として見るときは、\(2x=1\)を成り立たせる\(x\)の値は何か、と考えているわけです。

 

方程式と見た目は似ているのが、恒等式(identity)です。

例えば、\(2(3x+1)=6x+2\)という等式は、\(x\)がなんであろうが成り立ちます。すべての\(x\)について成り立つ等式を、恒常的に等しい式、恒等式と呼ぶわけです。

 

方程式か恒等式か、等式の形だけからは見分けることができません。例えば\(2(3x+1)=6x+2\)を方程式として見ることはできて(普通はそうしませんが)、そのときすべての\(x\)がこの方程式の解となります。

\(x^2-1=(x+1)(x-1)\)という因数分解は、すべての\(x\)について成り立つ等式であり、恒等式です。\(x^2-1=0\)を方程式として見るならば、その解は\(x=1\)または\(x=-1\)です。

方程式のときは等式を成り立たせるある限定された数\(x\)たちのことを考え、恒等式のときはすべての数\(x\)について成り立つ等式を考えている、という違いがあります。

 

方程式とは何かという説明で、「式の中にある値を代入すると成り立つ等式を方程式という」という書き方を見かけますが、これは微妙です。

方程式には、いつでも解があるとは限りません。先ほど考えた方程式\(0x =1\)がそうです。また2つの方程式を合わせた\(2x=1,3x=1\)にも解が存在しません。

確かに、学校の数学や簡単な問題では、解が存在する方程式だけを扱うことが多いでしょう。だからといって、「どんな数を代入しても成り立たない等式」を方程式の定義から排除してしまうと、いわゆる「解なし」の意味がわからなくなってしまうでしょう。

 

以上、方程式の解とは何かを簡単に述べ、その後、等式、変数、方程式、恒等式といった用語を詳しく解説しました。

中学の数学では、記号や用語が登場して、混乱しがちです。今回述べたような、用語が何を意味しているか(定義)を確認して、自分の言葉として数学を扱えるようになってみてください。

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。

 

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