高校数学のやり直しに「基本から身につける数学1・Aの計算力」レビュー

どうも、木村(@kimu3_slime)です。

大学数学に少し興味があるけれど、高校の数学から苦手な部分がある。でも高校の教科書はもう持ってない。そんな人もいるのではないでしょうか。

今回は、読み放題サービスKindle Unlimitedの対象となっている「基本から身につける数学1・Aの計算力」を紹介します。

 



どんな本か

基本から身につける数学1・Aの計算力」は、数学1・Aの内容を学びたい人向けの参考書です。30の単元(テーマ)があり、それぞれに例や解説、問題の解き方が載っています。

著者は代々木ゼミナールの講師。「はじめに」において、高校数学においては

  1. 定義の理解
  2. 公式・定理の理解
  3. 原理・原則の理解と基礎計算の練習
  4. 頻出問題(教科書の例題レベル)の解法理解

が大事としています。その一方で、4の解法理解、それも暗記に走ってしまう人が多い。だから1~3、基本的な理解と計算の練習にフォーカスした本になっています。

僕も高校数学の理解において、多くのパターンや難問に挑むよりは、ひとつひとつの単元を深く理解し、最低限の計算ができるようになっておくことが大事だと考えています。

楽はさせてくれない真面目なスタイルだと思いますが(笑)、この本がマスターできていれば数学1・Aは十分だと思います。

 

目次

  1. 数値計算・多項式
  2. 2次関数
  3. 方程式・不等式
  4. 図形・三角比
  5. 場合の数・確率
  6. 整数の性質
  7. データの分析

ほぼ、2020年の学習指導要領解説にそった内容が含まれています。

 

特徴

まず本書で良いと思ったことが、公式を提示するだけでなく、それがどんな考え方で作られているかが書かれていることです。

例えば、\(x\)に関する2次式の因数分解のページから。

引用:p.31

いきなりきれいな形で因数分解するのは難しい。まず\(x\)の1次式の積を書いてみて、その係数を調整する。そのあと、元の式と合うように定数項を試行錯誤しながら決めていく。とにかく、展開してもとに戻す、検算することが大事という考え方です。ここまでくれば、公式は覚えるほどのものではないでしょう。

他の公式でも覚える量を減らすための工夫が書かれています。

三角形の面積の公式\(S= \frac{1}{2} bc \sin A\)に関しては、他のパターン\(S= \frac{1}{2} ca \sin B\)まで覚える必要はない、それは三角形を見る向きを変えただけだから、と書かれています。底辺×高さ÷2の式の説明から始まるので、それとサインの定義を組み合わせれば覚えることはほぼありません。

「そんなこと覚えないのなんて当然でしょ」と数学が得意な人は考えているかと思います。しかしながら、多くの教科書や参考書には多くの公式が並べられており、苦手な人は圧倒されてしまうのではないでしょうか。公式やその暗記への苦手意識を減らすなら、この本を読みましょう。

 

もうひとつ目を引いたのは、計算の中で論理記号を用いることで理解の正確さを意識しているところです。

具体的には、1次方程式・不等式のあたりから、\(\Rightarrow, \Leftrightarrow \)を使った同値変形の話が紹介されています。

例えば、\(x(2x-1)=0 \Rightarrow 2x-1=0 \)は誤りです。\(x=0\)は前提を満たしますが、結論を満たしません。\(x=0\)のケースがあるときは、\(x\)で割る操作はできませんね。

方程式に関する問題を解く時は、同値でない変形をしないように、同値変形のみになるように意識することが大事です。正直、論理の意識は中学数学から身につけたいものですが、現状の教材ではあまり重点が置かれていないように見えます。

単に計算を行うだけでなく、適切な論理を保ちながら計算する方法を身に着けてみてください。

 

気になる点

この本には、計算に重点が置かれているからか、数学1の集合と論理の話が入っていません。

また、すべての公式の証明が載っているわけではありません。例えば、ユークリッドの互除法は公式の説明のみであり、証明は省略されています。

この本の範囲は数学1・Aのみです。数学2・Bや3・Cは別の本で学ぶ必要があります。

参考書なので当然かもしれませんが、数学の中身の話で、応用をイメージするのが難しいかもしれません。確率や統計に関しては、文章題を通じてイメージしやすいですが……。

 

僕は「基本から身につける数学1・Aの計算力」を、Kindleの読み放題サービスKindle Unlimitedで読みました。登録してあれば無料なので、ぜひ試しに読んでみてください。公式の本質を掴み、数学1・Aの理解をしっかりしたものにしましょう。

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。

 

大山壇の 基本から身につける数学1・Aの計算力
大山 壇(著)
KADOKAWA (2020-03-09T00:00:01Z)
5つ星のうち4.1
¥1,320

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