三角形の合同の定義、性質(反射律、対称律、推移律)の証明

どうも、木村(@kimu3_slime)です。

今回は、三角形の合同の性質

  • 反射律 \(\triangle ABC \cong \triangle ABC\)
  • 対称律 \(\triangle ABC \cong \triangle DEF\)ならば、\(\triangle DEF \cong \triangle ABC\)
  • 推移律 \(\triangle ABC \cong \triangle DEF\)かつ\(\triangle DEF \cong \triangle GHI\)ならば、\(\triangle ABC \cong \triangle GHI\)

の証明を紹介します。

 



合同の定義

そもそも、2つの三角形が合同である(congruent)\(\triangle ABC \cong \triangle DEF\)とは、その3つの角度と辺の長さが等しいことです。

つまり、\(\angle A = \angle D\)、\(\angle B = \angle E\)、\(\angle C = \angle F\)、\(AB = DE\)、\( BC = EF\)、\(CA = FD\)が成り立つことです。

平行移動や回転、反転によって重なり合う三角形とも言えます。

また、数の等号に関する性質

  • 反射律:すべての\(x \)に対して、\(x=x\)が成り立つ
  • 対称律:すべての\(x,y \)に対して、\(x=y\)ならば\(y=x\)が成り立つ
  • 推移律:すべての\(x,y,z \)に対して、\(x=y\)かつ\(y=z\)ならば、\(x=z\)が成り立つ。

を議論の出発点として、話を進めましょう。

 

合同の性質の証明

反射律

数の反射律から、\(\angle A = \angle A\)、\(\angle B = \angle B\)、\(\angle C = \angle C\)、\(AB = AB\)、\( BC = BC\)、\(CA = CA\)が成りたちます。よって、合同の定義から、\(\triangle ABC \cong \triangle ABC\)です。

 

対称律

仮定\(\triangle ABC \cong \triangle DEF\)から、\(\angle A = \angle D\)、\(\angle B = \angle E\)、\(\angle C = \angle F\)、\(AB = DE\)、\( BC = EF\)、\(CA = FD\)が成りたちます。

数の対称律を用いれば、\(\angle D = \angle A\)、\(\angle E = \angle B\)、\(\angle F = \angle C\)、\(DE = AB\)、\( EF = BC\)、\(FD = CA\)です。したがって、\(\triangle DEF \cong \triangle ABC\)となります。

 

推移律

仮定「\(\triangle ABC \cong \triangle DEF\)かつ\(\triangle DEF \cong \triangle GHI\)」から、

  • \(\angle A = \angle D\)、\(\angle B = \angle E\)、\(\angle C = \angle F\)、\(AB = DE\)、\( BC = EF\)、\(CA = FD\)
  • \(\angle D= \angle G\)、\(\angle E = \angle H\)、\(\angle F = \angle I\)、\(DE = GH\)、\( EF = HI\)、\(FD = IG\)

です。数の推移律を用いれば、

  • \(\angle A = \angle G\)、\(\angle B = \angle H\)、\(\angle C = \angle I\)、\(AB = GH\)、\( BC = HI\)、\(CA = IG\)

が成りたちます。よって、\(\triangle ABC \cong \triangle GHI\)が示せました。

 

一般に、今回紹介したような性質

(E1)反射律:\(\forall x \in X \quad x\sim x\)

(E2)対称律:\(\forall x,y \in X \quad x\sim y\)ならば\(y \sim x\)

(E3)推移律:\(\forall x,y,z \in X \quad x\sim y,y\sim z\)ならば\(x\sim z\)

を満たす2項関係\(\sim\)は、同値関係と呼ばれます。

今回証明したことは、三角形の合同\(\cong\)が同値関係であること、とまとめられますね。

 

以上、三角形の合同の定義、性質(反射律、対称律、推移律)の証明を紹介してきました。

合同の定義と数の等号の性質から簡単に導けることなので、数の等号と同じくらい当たり前だと思えると良いですね。

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。

 

 

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