どうも、木村(@kimu3_slime)です。
支持率などのパーセント増減があるとき、「10%増加・減少」という表現は誤解を招きやすいです。ニュースではそれは「10ポイント増加・減少」と表現されることが多いでしょう。
今回は、それらの違い、パーセンテージポイントの考え方を紹介します。
支持率の変化など、パーセント・割合の時間に伴う変化を表すグラフはしばしば見られます。
画像引用:内閣支持率 – NHK
注意したいのが、「10%減った」のようなパーセントを使った表現です。
全体 | 1月 | 2月 | |
割合 | 100% | 50% | 40% |
量 | 1000 | 500 | 400 |
例えば全体が1000万人であったとしましょう。1月の支持率は50%ということは、500万人が支持していることを意味しています。
そして、「1ヶ月の間に、支持率は10%低下しました」。この文章で意味しているのは、変化の割合(パーセント)でなく、パーセントの差です。それはパーセンテージポイント(percentage point)、あるいは単にポイントと呼ばれます。
「この1ヶ月の間の、支持率の変化は10%です」というと、これは間違いです。なぜなら、量は500から400へと100減少しているので、1月を基準として\(\frac{100}{500} = 20 \)%の変化です。
「1ヶ月で10%減った」と書くと、パーセントの数値の変化(全体における割合の変化)なのか、変化前を基準とした変化の割合なのか、どちらを意味しているかが曖昧になりやすいです。
パーセントの時間変化を表すグラフでは、前者の意味でパーセントの増減を捉えることが多いので、その増減を(パーセンテージ)ポイントと呼びわけるようにしているわけですね。
実際には、「10年で~パーセント減った」といった表現は用いられているようですが、どちらの意味か注意したいです。
まあ、プロの新聞記者でさえこれなので。
※南日本新聞2019年5月5日付。 pic.twitter.com/vPtFTPK7od
— 渡邊弘 (@koreiwa1968) January 31, 2021
そもそも、割合の変化は、何を基準としているのかを考えないと、誤解しやすいです。
例えば、500万人の1割減少(10%減少)は、1割が50万なので、450万人です。一方、450万人の1割増加(10%増加)は、1割が45万なので、495万です。
一般に、「A」と「Aの1割減の1割増」は別物です。10%値引きをした商品を、続いて10%値上げしても、元の値段には戻りません。なぜなら、
\[ A \times(1-\frac{1}{10}) \times (1+ \frac{1}{10})\\ = \frac{99}{100}A\]
で、\(A\)そのものと一致しないからです。500の99%(1割減の1割増)は495であるように。
以上、パーセントの増減の注意点、パーセンテージポイントとは何かを紹介してきました。
「10年で~パーセント減った」といった表現を見たら、何を基準として~パーセント減ったのか注意して読みましょう。
全体を基準としたパーセントの増減(パーセントポイント)か。それとも、変化前を基準とした割合の変化(パーセント)か。パーセントや割合の表現を見たら、その基準を意識するのが大事だと思います。
木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。
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