有効数字とは:不等式による表現、足し算掛け算のルールと原理

どうも、木村(@kimu3_slime)です。

今回は、物理や化学などで用いられる有効数字とは何か、その計算ルールと原理について紹介します。

 

有効数字とは

例えば、子どもの頭の大きさ、頭囲を測るとしましょう。1mm単位で測れるメジャーによると、12.0cmだったとします。

このとき、数学的には\(12. 0 =12\)であると切り捨てずに、下一桁の0を意味のある=有効な数字として残します。真の長さ\(x\)は正確にはわからないが、\(x\)は四捨五入すると\(12.0\)になるような数だと誤差を含めて考えるのが有効数字です。

「子どもの頭囲は有効数字3桁で\(12.0\)cmである」といったように表現します。もし1mm単位でなく1cm単位でしか測れないメジャーなら、「有効数字2桁で\(12\)cm」となるでしょう。

 

誤差を考えるとは、数そのもののピンポイントの値だけでなく、範囲(区間)として考えるということです。有効数字3桁の\(12.0\)ならば

\[ 11.95 \leq x < 12.05\]

という不等式の範囲に長さがあると考えています。この範囲にあれば、四捨五入によって数値を丸めたときに、\(12.0\)になると考えたわけです。

有効数字2桁の\(12\)は、

\[ 11.5 \leq x < 12.5\]

です。有効数字の桁数によって、似ている数字でも、表している数値の範囲、精度が違うのがわかりますね。

これらの有効数字について、

\[12.0 \pm 0.05\]

\[12 \pm 0.5\]

とプラスマイナスの記号を使って誤差を表すこともあるでしょう。

アナログな測定方法としてメジャーを紹介しましたが、デジタルな測定でも同じです。測定桁数には限界と誤差が必ず伴います。そんな状況でも誤差を正確に扱うために、有効数字何桁なのか、という情報を残します。

 

有効数字は、しばしば(1以上10以下の整数)×(10のべき乗)という指数記法(科学的記法)で表されます。さきほどの例ならば、

\[1.20 \times 10^2\]

\[1.2 \times 10^2\]

です。上の表現では0を省略せずに書くことで、意味のある0、有効数字が3桁であることの表現になっています。

\(0.01210\)と小さな数の場合は、

\[1.210 \times 10^{-2}\]

と前半部分が1以上10以下の値となるようにします。これは有効数字4桁です。\(0.01210\)であるからといって、前半の0に意味(=誤差)はなく、有効数字6桁とは考えないことに注意しましょう。

 

有効数字の計算

有効数字同士の計算では、基本的には

  • 有効数字の桁数の少ない方に合わせるか、それより一桁少なくする

というルールがあります。これらはなぜなのか、具体例をもとに考えていきましょう。

 

画像引用:実戦物理重要問題集 物理基礎・物理

(この画像における説明は、よくあるものですが、今回紹介した有効数字の扱いとは別物です。より多くの誤差を許容しています。)

 

足し算、引き算

\(1.2\)と\(12.8\)の足し算について考えましょう。前者の有効数字は2桁、後者は3桁です。

これらを計算すると、

\[\begin{aligned} &1.2+12.8 \\&= 14.0 \\& \simeq 14  \end{aligned}\]

と有効数字2桁で扱うことになりました。\(14.0\)として扱えないことに注意しましょう。

 

なぜこうなるのでしょうか。不等式で表現して考えます。真の値\(x,y\)は不等式を用いれば、

\[ 1.2-0.05  \leq x < 1.2+0.05\]

\[ 12.8-0.05  \leq y < 12.8+0.05\]

という範囲にあります。ここで、不等式の一般的な性質

\[ a_1 \leq x \leq b_1 かつ a_2 \leq y \leq b_2\]

ならば

\[ a_1 +a_2 \leq x+y \leq b_1+b_2\]

を用いましょう。すると、

\[ 14.0-0.1  \leq x+y < 14.0+0.1\]

となります。ここで範囲を少し広げれば、

\[ 14-0.5  \leq x+y < 14+0.5\]

となるので、

\[x+y \simeq 14\]

であることが示せました。

 

\(x+y \simeq 14.0\)とは表せない理由を考えてみましょう。

\(x,y\)が最も小さくなるケースを考えれば、\(x = 1.15,y =12.75\)です。このとき、\(x+y = 13.9\)であり、\( 13.95=14.0-0.05 \leq x+y < 14.0+0.05 \)を満たしません。

 

ただし、和の計算で2倍の誤差を許容するならば、

\[ 14.0-0.1  \leq x+y < 14.0+0.1\]

という不等式を\(x+y \simeq 14.0\)と3桁で表すこともできます。

 

掛け算、割り算

\(1.2\)と\(3.1415\)の掛け算について考えましょう。有効数字は2桁と5桁です。一般的にはその少ない桁数、2桁に合わせてることも多いでしょう。

しかし、今回紹介している有効数字の扱いでは、1桁

\[\begin{aligned}  &1.2 \times 3.1415 \\ &=3.7698 \\&\simeq 4 \end{aligned}\]

となります。

 

なぜこうなるのでしょうか。不等式で表せば、

\[ 1.2-0.05  \leq x < 1.2+0.05\]

\[ 3.1415 -0.00005  \leq y < 3.1415+0.00005\]

です。

不等式の一般的な性質

\[ a_1 \leq x \leq b_1 かつ a_2 \leq y \leq b_2\]

で\(a_1,a_2 >0\)ならば

\[ a_1 a_2 \leq x y \leq b_1b_2\]

を用いましょう。すると、

\[ (1.2-0.05)\times(3.1415 -0.00005)  \leq x y \\< (1.2+0.05) \times(3.1415+0.00005)\]

\[ 3.7698 -0.157135 +0.0000025  \leq x y \\< 3.7698 +0.157135 +0.0000025 \]

となります。小さな数に注意して、少し範囲を広げれば、

\[4-0.5 \leq xy < 4+0.5\]

つまり

\[xy \simeq 4\]

が示せました。

 

\(xy \simeq 3.8\)とは表せない理由を考えてみましょう。

\(x,y\)が最も小さくなるケースを考えれば、\(x = 1.15,y =3.14145\)です。このとき、\(xy = 3.6126675\)であり、\( 3.75=3.8-0.05 \leq xy < 3.8+0.05 \)を満たしません。

 

積の計算でより多くの誤差を許容するならば、

\[ 3.6  \leq x y < 4.0 \]

を満たすので、

\[ 3.8-0.2  \leq x y < 3.8+0.2 \]

と見て、誤差の範囲は0.4で\(xy \simeq 3.8\)と2桁で近似できます。

 

以上、物理や化学などで用いられる有効数字とは何か、その計算ルールと原理について紹介してきました。

誤差を伴う不確かな数を、ひとつの数ではなく区間として扱う方法は、区間演算として知られています。

手計算しか使えない計算問題では、今回紹介した方法より、もっとラフなルールにもとづいて計算することも多いでしょう。しかし、原理的には不等式を使って近似計算していると知っておくと良いでしょう。

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。

 

2022 実戦物理重要問題集 物理基礎・物理
数研出版編集部(編さん)
数研出版 (2021-11-06T00:00:01Z)
5つ星のうち4.5
¥1,990 (コレクター商品)

 

こちらもおすすめ

近似値を正確に:指数記法と有効数字、丸めとは何か

高校物理における近似式とその導出:テイラー展開