どうも、木村(@kimu3_slime)です。
今回は、磁場における荷電粒子の運動について、螺旋を空間曲線として導いていきます。
荷電粒子が磁場によって受ける力(ローレンツ力)は、\(f= q v_{\perp} B\)であることが知られています。ここで\(B\)は磁束密度、\(v_{\perp}\)は磁場に対して垂直方向の速度です。
画像引用:実戦物理重要問題集 物理基礎・物理
磁場に斜めに荷電粒子が入射したとき、3次元空間における螺旋運動が起こることを証明していきましょう。
磁束密度ベクトルの方向を\(z\)軸とし、それに垂直な方向を\(x,y\)平面とします。
荷電粒子が磁場に入射したとき、\(v_{\perp}\)を垂直方向の速度、\(v_{\parallel}\)とします。
まず、\(z\)軸方向についての運動方程式を考えましょう。荷電粒子には磁場に対して垂直方向のみ力が働き、水平方向には働きません。
\[ m\frac{d^2 z}{dt^2}=0\]
\[\frac{dz}{dt}= v_{\parallel}\]
です。これを解けば、等速運動\(z(t) = v_{\parallel} t\)です。
続いて、\(x,y\)平面についての運動方程式を考えましょう。
円運動における中心方向の加速度は、円の半径を\(r\)として、一般に\(a = \frac{v^2}{r}\)です。したがって、運動方程式は
\[m \frac{v_{\perp} ^2}{r} = q v_{\perp}B\]
となります。ここから半径は\(r=\frac{m v_{\perp} }{qB}\)、角速度は\(\omega = \frac{v_{\perp}}{r}\)です。
円運動の中心を、\(x,y\)平面の原点としましょう。すると、円運動は三角関数を使って、
\[x(t) = r \cos (\omega t + \theta_0)\]
\[y(t) = r \sin (\omega t + \theta_0)\]
と表せます。これは極座標の考え方です。二乗すれば、半径\(r\)の円上を常に運動することがわかります \((x(t))^2+(y(t))^2 = r^2\)。
ただし、\(\theta_0\)は、初期位置\(x_0 =x(0),y_0 =y(0)\)を満たすように選んだものです(初期位相)。逆三角関数を用いれば、\(\theta_0 = \mathrm{arctan}(\frac{y_0}{x_0})\)とすれば良いです。
以上をまとめると、荷電粒子の運動は、時間変化するベクトル(ベクトル値関数)として
\[(x(t),y(t),z(t) )\\ = ( r \cos (\omega t + \theta_0), r \sin (\omega t + \theta_0), v_{\parallel} t)\]
と表すことができました。これは空間内の曲線であり、螺旋運動です。
特に荷電粒子の磁場による螺旋運動は、サイクロトロン運動と呼ばれています。
以上、磁場における荷電粒子の運動について、螺旋を空間曲線として導いてきました。
円運動の表現には三角関数、空間的な運動にはベクトルやベクトル値関数の考え方が必要となることが伝われば嬉しいです。
木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。
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