どうも、木村(@kimu3_slime)です。
僕は高校で確率について学びましたが、どうも引っかかる言葉に、場合の数というものがありました。不満を抱きつつも、計算はできるようになったのですが、結局何だったのでしょうか?
今回は、「場合の数」を「結果の個数」と呼んだ方がわかりやすいのではないか、という話をします。
場合の数とは結果の個数のこと
まず、わかったようなわからないような確率の説明の例を見てみましょう。
確率は(それが起こる場合の数)/(全体の場合の数)
ある事柄について、考えられるすべての場合を数え上げるとき、その総数を 場合の数 という。
……ちょっと難しく聞こえるよね。でも、実は話はとても単純。 場合の数は「何パターンあるか」 だと覚えておけばOKだよ。
結局、場合とはなんなのでしょうか(笑)。「何パターンあるか」を考えると言っていますが、「何が」何パターンあるのでしょうか、主語が不明確です。
端的に言えば、結果が何パターンあるかということです。結果というのは、コインを投げたりサイコロを振ったりする、確率的な試行の結果です。結果が何通りあるのか数えなさい、と言えばすんなり理解できます(どうして誰もそう言ってくれなかったのか笑)。
この考えに僕が至ったきっかけは、英語で書かれた本でした。場合の数は、英語 number of outcome (結果の個数)の訳語なのです(おそらく)。
The probability of any event \(E\) is
\[ \begin{aligned}\frac{\mathrm{Number\, of\, outcomes\, in\, }E}{\mathrm{Total\, number\, of\, outcomes\, in\, the\, sample\, space}}\end{aligned} \]
This probability is denoted by
\[ \begin{aligned}P(E) = \frac{n(E)}{n(S)} \end{aligned} \]
This probability is called classical probability, and it uses the sample space \(S\).
引用:Bluman「Elementary Statistics」
僕が訳すれば次のようになります。
何らかの事象 \(E\)の確率とは、次の割合のことである。
\[ \begin{aligned}\frac{\mathrm{事象Eの結果の個数}}{\mathrm{標本空間における結果の総数}}\end{aligned} \]
この確率は次のように表される。
\[ \begin{aligned}P(E) = \frac{n(E)}{n(S)} \end{aligned} \]
この確率は古典的確率と呼ばれ、それは標本空間\(S\)を用いている。
(この公式で確率が計算できるのは、事象が同様に確からしい equally likely events だけなので注意しましょう)
例えば、サイコロを1回振るという確率的試行を考えましょう。どの値が出るかはランダムで予測できない、起こりやすさ=確率しか考えることはできません。1回1回でどんな値が出るかはわからなくても、起こりうる結果について僕たちは考えることができます。それは、\(1,2,3,4,5,6\)という結果です。
ここで、偶数の目が出るという状況は、どのくらいの起こりやすさなのか、という問題を考えます。この「偶数の目が出る」ことといった、結果の集まりは事象・出来事 eventと呼ばれますが、そこに含まれている結果は何個でしょうか。\(2,4,6\)の3個ですね。したがって、今回は\(P(E)= \frac{3}{6}= \frac{1}{2}\)と考えられるわけです。
(ここでは曖昧なままの、標本空間、事象、事象の確率にはもう少しきちんとした説明があります。別記事で紹介予定。)
以上、確率の定義における「場合の数」とは何か、結果の数という呼び方を紹介してきました。
確率の分野は、計算はできるけれども本当にそれで良いのか納得しにくい分野ではないかと思います。今回の話が、少しでも確率の理解の助けになれば嬉しいです。
木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。
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