どうも、木村(@kimu3_slime)です。
算数レベルの計算力は、数学を学ぶために大事な力だと最近よく思います。基礎体力がないと、応用的なことを考える余裕はできません。でも、どうやって計算力を身につければ良いのか。
今回、読み放題サービスKindle Unlimitedの対象となっている「大人のための「超」計算トレーニング」がちょうど良かったので、紹介します。
どんな本か
「大人のための「超」計算トレーニング」は、たし算・ひき算・かけ算・わり算といった小学校レベルの計算を楽しむ方法が書かれたドリルです。計算・算数が苦手・嫌いだったけど、できるようになりたい人におすすめ。
本書の主張は2つ。
- 計算力、暗算力は、人間の思考力の根幹をなすものである。
- 「計算=単純作業だから、ていねいに正確にやることが大切」という誤解を解いて、計算の楽しさを世に広く伝えたい
このどちらにも僕は共感します。
前者について、計算力はのちのちの論理的思考力につながると思います。つまり、与えられた数字を適切に処理して、正しい結論を導くトレーニングとなっています。中学校以降の数学では文字と式(代数)を扱いますが、数を文字に置き換えて操作する能力は、そもそも数そのものの操作(計算)ができないと難しいでしょう。
「数学に感動する頭をつくる」という本でも、数学で優れたスキルを発揮できる人には、共通してベースの計算力があるという話がされていました。
参考:数学にセンスは必要?「数学に感動する頭をつくる」レビュー
後者の主張はちょっとわかりにくいですね。著者は「計算では筆算しなければならない教え方」を批判をしています。確かに小学校ではそういった教わり方をした記憶があります。しかし、計算の工夫は何も筆算ではなくてもできて、その方法はこの本に書かれています。自分で目の前の式を工夫して計算しようとすれば、計算はなかなか面白いものですよ。
作戦を立てて計算する=式変形する楽しさ
この本は単なる計算ドリルではなく、計算をうまくする工夫・テクニックが多数紹介されています。「そんなの当たり前にやってた」というレベルのものもあるかもしれませんが、その当たり前がどうして成り立っているのか、気づいてみると面白いものです。
引用:大人のための「超」計算トレーニング p.24
自分が頭の中で「630-298」を計算する時、まず298から2が出てきて、それと30が合わさって32、残りは300だから合わせて332とやっていました。これはまさに上の式変形です。本ではこれが素早く暗算できるように……と言っていますが、最初のうちはこれでもかと途中の式変形を書いていくのが良いと思います。
実際僕もやってみたのですが、計算の工夫、式変形の仕方をちゃんと書いていくと、筆算でなくても答えが導けてなかなか楽しいです。「こうやると間違いが少ないし速い」というのは、本当にパズルゲームのよう。
僕が中学生くらいの時に、例えば\(14\times 7\)のような暗算ができる人とできない人、それだけで差がついていってしまうのだろうな……と思っていました。本書でも、掛け算九九だけでなく、一桁×19までの計算、九・十九がスピーディに計算できるようになることが推奨されています。これは2桁の数の割り算の計算力に直結してますね。
頭の中では、\(14\times 7\)は即98と出てくるわけですが、丁寧にやると70+28をやっています。式変形を示すならば、\(14\times 7 = (10+4)\times 7=10\times 7 + 4\times 7\)です。
掛け算の筆算では下の桁から計算して繰り上がって……と習いますが、本書では上の桁から順に計算することが提唱されています。暗算する上では、繰り上がりの結果をいくつか覚えておくのは現実的ではありませんね。また、上の桁から計算することは、およその数=概数を求めるときにも有効です。買い物など日常でよく使うスキルです。
この掛け算の例では、中学校で本格的に扱う分配法則を扱っています。10・キリの良い数を作る補数という考え方や、かっこ()を使って計算の優先順位を変える方法は、小学校では積極的に使われなかったかもしれませんが、とても便利なものです。
目次
本書には類書があります。
- たし算&ひき算の基本・1
- たし算&ひき算の基本・2
- 3数以上のたし算&ひき算
- いよいよ、かけ算
- 仕上げのわり算
- 分数・小数のかけ算&わり算
- まずは、たし算
- 次は、ひき算
- 暗算&速算の基本ルール
- 3数以上のたし算・ひき算
- いよいよ、かけ算
- もっと、かけ算
- 最後に、わり算
- 3数以上のかけ算・わり算
- 街角で使える「超」計算
「大人のための「超」計算トレーニング」の方が、出版が新しく、章立ても内容もわかりやすくなっている印象です。「大人のための「超」計算」はその元になった本です。
気になる点
計算テクニックと問題が隣に並べられています。なので、気持ちよく解ける問題だけ出して、都合良すぎると思うこともあるでしょう。実際本文でもそういう指摘はあります。そんなこと言ったら、参考書や教科書は全部そうですが……。ただし、「こんな工夫がある」と知っておくのが大事です。それが初見の問題を解くときに、「これにはあの工夫が使えるかも」と思えるきっかけになるので。
また、Kindle版はスマホ用に最適化されてはいません。PCで読む分には問題ありませんが、スマホだと小さく感じるでしょう。紙の本で買うと書き込みできて良いかもしれません。
僕は「大人のための「超」計算トレーニング」を、Kindleの読み放題サービスKindle Unlimitedで読みました。登録してあれば無料なので、ぜひ試しに読んでみてください。勉強というよりはパズルの本だと思って、紙とペンで遊んでみるとなかなか楽しいですよ。
木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。
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