どうも、木村(@kimu3_slime)です。
人工知能の話をニュースでよく聞くから、そのためのプログラミング、数学を勉強してみたい。でも何を学べばいいんだろう?
そんな方へ、「人工知能プログラミングのための数学がわかる本」を紹介します。
どんな本か
「人工知能プログラミングのための数学がわかる本」は、人工知能に関する専門書を読むために必要な数学の基礎が何かがわかる本です。言ってしまえば、未知の数式への拒絶感を減らすための本。
必要の数学の前提知識は、中学・高校くらいです。中学くらいの話題から始まるので、苦手でも大丈夫でしょう。大学教養数学(線形代数・微積分・統計学)を学びはじめようとしている大学1年生に良いレベル感だと思います。
本の前半では、微分、線形代数、確率・統計といった数学を紹介しつつ、それがどう人工知能で使われているかが述べられています。
後半は実践編で、人工知能プログラミング、データを使った推測の具体例3つが解説されています。実践編はPythonのコードがオンラインで公開されていて、見れば雰囲気はつかめるでしょう。
僕が本書を良いなと思う点は、前半の数学解説部分です。どの数学の内容にも、必ず人工知能でどう応用されているかがセットで書かれているからです。
例えば、ベクトルの内積の話の後に、それを使ったコサイン類似度というものが紹介されます。2つのベクトルがどれだけ「似ている」かを数値化できるわけです。
参考:人工知能プログラミングのための数学がわかる本 p.88
「りんご」と「みかん」は、果物という観点では似ていますが、色や味は似ていません。コンピューターでテキストを処理する時、単語や文章はベクトルとして表され、それがどれくらい近いものなのかを調べるのにコサイン類似度を使う、という話です。
中学・高校・大学の数学で、この数学は何の役に立つのだろうと疑問に思う人は少なくないでしょう。この本はその疑問を埋めてくれるもので、実践が感じられる数学の本だと思います。
目次
- 数学基礎
- 微分
- 線形代数
- 確率・統計
- 実践編1 (回帰モデルを使った住宅価格の推定)
- 実践編2 (自然言語処理で文学作品の作者推定)
- 実践編3 (ディープラーニングで手書き数字認識)
気になる点
この本だけで、人工知能の専門書を読むために必要な数学が完璧に身につけられるわけではありません。幅広く紹介されている分、ひとつひとつの項目は数学の教科書ほど詳しくはありません。あくまで、知らない分野や苦手な分野を見つけ出す用途が良いでしょう。
また、プログラミングの実践編は、あくまで3つの例の解説にとどまります。ディープラーニング、ニューラルネットワークの説明は、雰囲気はわかりそうですが、端折っていて良くわからない部分もあります。実践のベースにある理論を学ぶには、別の本を読む必要があるでしょう。
そもそも、人工知能ってなんなのだ、回帰モデルを人工知能と呼んで良いのか……という疑問もあります。これには、「イラストで学ぶ 人工知能概論」という本が答えてくれるでしょう。こちらは人工知能にフォーカスがある本で、数学部分は難しめ、プログラム例等がありません。
「人工知能プログラミングのための数学がわかる本」は、人工知能と数学、両者にどんな話題や考え方、関連があるのか知れる本です。実践を紹介することで、数学を学ぶモチベーションを高めてくれる本でもあると思います。この2つの話題に興味がある方は、ぜひ読んでみてください。
木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。
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