どうも、木村(@kimu3_slime)です。
今回は、ピタゴラスの定理による余弦定理の証明を紹介します。
どんな三角形であっても、辺の長さを\(a,b,c\)、角度を\(A,B,C\)とすると
\[a^2+b^2 -2ab \cos C =c^2\]
\[b^2+c^2 -2bc \cos A =a^2\]
\[c^2+a^2 -2ca \cos B =b^2\]
が成り立ちます。これは(第二)余弦定理(law of cosines)と呼ばれるものです。
特に直角な角度について考えると、\(C=90^{\circ}\)ならば\(\cos C=0\)なので、\(a^2+b^2=c^2\)が導かれます。つまり、余弦定理はピタゴラスの定理の一般化で、直角でない三角形にも使えるようになっています。
では、証明していきましょう。
ピタゴラスの定理を使って、長さの関係をコサインを使って表します。
長さ\(b\)を持つ辺へと、向かい合う頂点から垂線を下ろしましょう。高さを\(h\)とします。2つの直角三角形ができました。
右側にできた直角三角形と角度\(A\)に注目すると、コサインの定義から、\(\cos A = \frac{右下側の辺の長さ}{c}\)です。したがって、右下側の辺の長さは\(c \cos A\)となります。
下側の辺の長さは\(b\)なので、分けた三角形における左下側の辺の長さは\(b- c\cos A\)と表せます。
これら2つの三角形の辺の長さに、ピタゴラスの定理を適用すれば、
\[(c \cos A)^2 +h^2 = c^2\]
\[(b-c \cos A)^2 +h^2 = a^2\]
です。\(h^2\)を消すように代入して整理すると、
\[(b-c \cos A)^2 +c^2-(c\cos A)^2 = a^2\]
\[b^2-2bc \cos A +(c\cos A)^2 +c^2-(c\cos A)^2 = a^2\]
\[b^2+c^2 -2bc \cos A = a^2\]
となり余弦定理が証明できました。
この議論の図では\(A\)が鋭角(直角より小さい)となっていますが、鈍角(直角)より大きいケースでも同様です。
長さ\(b\)の辺を延長し、さきほどと同様に垂線を下ろします。
右下にできる直角三角形では、角度\(180^{\circ}-A\)ができます。したがって、右下の辺の長さは\(c \cos (180^{\circ}-A)\)です。鈍角におけるコサインの定義(単位円による定義)から、\( \cos (180^{\circ}-A) =-\cos A\)なので、辺の長さは\(-c \cos A\)となりました。
したがって、2つの直角三角形にピタゴラスの定理を用いれば
\[(-c \cos A)^2 +h^2 = c^2\]
\[(b-c \cos A)^2 +h^2 = a^2\]
となって、さきほどと全く同じ方程式が得られます。
以上の議論では、\(b,c,A\)に注目しましたが、他の記号でも同様にして示せます。
以上、ピタゴラスの定理による余弦定理の証明を紹介してきました。
ピタゴラスの定理の逆と同じように、余弦定理を用いれば長さから角度の情報を求めることができます。
\[ \cos C =\frac{c^2-a^2-b^2}{-2ab}\]
これはベクトルの内積と角度の関係にも応用されるものです。
余弦定理の応用は幅広いですが、基本的にはピタゴラスの定理から導ける、と知ってもらえたら嬉しいです。
木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。
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