どうも、木村(@kimu3_slime)です。
今回は、等脚台形の定義、底角が等しいの証明を紹介します。
まず、台形(trapezoid)とは、2つの平行な辺を持つ四角形のことです。狭義の台形はちょうど2つの平行な辺を持つもの、広義の台形は2つ以上の平行な辺を持つものですね。
狭義の台形の平行でない2つの辺は、脚(leg)と呼ばれます。そして、脚の長さが等しい台形が、等脚台形(isosceles trapezoid)です。二等辺台形とも。
下の図においては、\(AD,BC\)が平行な辺です。\(AB,DC\)が平行でない辺であり、脚です。今回は\(AB=DC\)であるように、等脚台形であるように描きました。
2つの平行な辺は底辺(上底、下底 base)、脚と底辺のなす角は底角(base angle)と呼ばれます。
さて、等脚台形の性質として、その底角の大きさが等しくなります。
\(AD ,BC\)が平行で、\(AB =CD\)となる等脚台形\(ABCD\)を考えましょう。このとき、底角の大きさが等しくなること\( \angle ABC = \angle DCB\)、\( \angle BAD = \angle CDA\)を証明します。
\(AD =BC\)のときは、正方形となるので、底角は直角で等しいです(狭義の台形なら、このケースは考えなくて良い)。
\(AD \neq BC\)のときを考えます。\(AD < BC\)と仮定して話を進めましょう。\(AD > BC\)のときも同様です。
\(A,D\)を通る\(BC\)の垂線を引き、交わる点を\(E,F\)としましょう。
\(\triangle ABE, \triangle DCF\)に注目します。
まず、等脚である仮定から、\(AB=DC\)です。\(AD,BC\)は台形の平行な辺であり、平行な辺同士の距離、垂線の長さは一定なので、\(AE= DF\)です。また、垂線であるので、\(\angle AEB = \angle DFC\)です。
よって、直角三角形の合同条件、斜辺ともう一辺の長さが等しい三角形は合同なので(HL)、\(\triangle ABE, \triangle DCF\)は合同です。
よって、対応する角度は等しいので、\( \angle ABC = \angle DCB\)です。
また同様に、
\[\begin{aligned} &\angle BAD \\ &=\angle BAE+\angle EAD\\&= \angle CDF+\angle FDA \\&= \angle CDA \end{aligned}\]
となり、底角それぞれが等しくなることが示せました。
もちろん、すべての台形が等脚台形であるとは限りません。等脚でない台形も存在します。
また、今回示したことの逆が成り立つこと:底角が等しい台形は等脚台形となることも知られています。
以上、等脚台形の定義、底角が等しいことの証明を紹介してきました。
等脚であるならば、全体を合同な2つの三角形と長方形に分けられるので、底角も等しくなるわけですね。
典型的な台形の図を描くときは、対称な台形、脚の長さが等しく底角も等しい等脚台形を描くことが多いですが、脚と底角の関係を知っておくときれいに描けるかもしれませんね。
木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。
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