どうも、木村(@kimu3_slime)です。
今回は、5以上の素数\(p\)について\(p^2-1\)が24の倍数となることの証明を紹介します。この話題は、Twitter(Reddit)で知りました。
実験
\(p=5,7,11,13\)のとき、24の倍数となるかチェックしてみましょう。
\[5^2 -1 = 25-1 =24\]
\[7^2-1 = 49-1 = 48 = 2\cdot 24\]
\[11^2-1 = 121-1 = 120 = 5\cdot 24\]
\[13^2-1 = 169-1 = 168 = 7\cdot 24\]
確かに24の倍数となっていますね。
証明
\(p \geq 5\)となる素数\(p\)について、\(p^2 -1\)が24の倍数であることを証明しましょう。
まず、\(p^2-1\)は、積の形\((p-1)(p+1)\)に分解できます。
仮定より\(p\)は2でない素数なので、常に奇数です。したがって、\(p-1,p+1\)は隣り合う偶数であり、一方が2の倍数、もう一方は4の倍数となります。よって、\((p-1)(p+1)\)は8の倍数です。
また、仮定より\(p\)は3の倍数ではありません。隣り合う整数\(p-1,p,p+1\)のうちいずれかは3の倍数ですが、\(p\)が3の倍数ではないので、\(p-1,p+1\)のいずれかは3の倍数です。したがって、\((p-1)(p+1)\)は3の倍数です。
以上をまとめると、\(p^2-1=(p-1)(p+1)\)は8の倍数かつ3の倍数、すなわち24の倍数であることが示せました。
証明2
整数の合同式とその性質を用いて、証明してみましょう。一般に、\(a \equiv b \,(\mathrm{mod}\,n)\)ならば、\(a^k \equiv b^k \,(\mathrm{mod}\,n)\)が成りたちます。
\(p\)は3でない素数なので、\(p \equiv \pm 1(\mod 3)\)です(プラスマイナスはまたはの意味)。合同式の性質から、\(p^2 \equiv 1 (\mod 3)\)となります。
\(p\)は2の倍数でも3の倍数でもないので、\(p \equiv 1,5,7 (\mod 8)\)のいずれかです。合同式の性質から、\(p^2 \equiv 1,25,49 (\mod 8)\)となります。8で割ったあまりを考えれば、いずれにせよ\(p^2 \equiv 1 (\mod 8)\)です。
よって、\(p^2 -1\equiv 0 (\mod 3)\)かつ\(p^2 -1\equiv 0 (\mod 8)\)なので、\(p^2 -1\equiv 0 (\mod 24)\)、つまり\(p^2-1\)が24の倍数であることが示せました。
以上、5以上の素数\(p\)について\(p^2-1\)が24の倍数となることの証明を紹介してきました。
確かめることは難しくありませんが、シンプルな形の式が24の倍数になるという結果は面白いですね。
木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。
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