幾何学・相似の応用:レンズの公式の証明

どうも、木村(@kimu3_slime)です。

今回は、中学で学ぶ幾何学、相似の応用として、レンズの公式の証明を紹介します。

 

メガネや虫眼鏡、顕微鏡のようなレンズを通して物体を見ると、物体が大きく見えたり小さく見えたりします。人間の目も、仕組みとしてはレンズです。

レンズには光が集まる点、焦点があります。レンズと焦点との距離を焦点距離と呼び、\(f\)としましょう。

物体が発する光がレンズを通ると、像ができあがります。

物体とレンズの距離を\(a\)、レンズと像の距離を\(b\)とします。このとき、レンズの公式

\[\frac{1}{a}+\frac{1}{b} = \frac{1}{f}\]

が成り立ちます。ただし、レンズの位置を原点として、\(f,a,b\)の符号は状況に合わせて設定したものです。

 

今回は簡単のため、凸レンズ(\(f>0\))で、物体の位置は焦点とレンズの間にあるケースのみ扱います。このときは、虚像ができあがります(\(b<0\))。

上の図のように三角形の頂点に記号を割り当てて、相似の問題に持ち込んでレンズの公式を証明しましょう。

 

\(\triangle{AOA^{\prime}}\)と\(\triangle{BOB^{\prime}}\)に注目します。\(\angle AOA^{\prime}\)と\(\angle BOB^{\prime}\)は共通の角であり、\(\angle OAA^{\prime}\)と\(\angle OBB^{\prime}\)はともに直角です。2組の角が等しいので、2つの三角形は相似です \(\triangle{AOA^{\prime}}\sim \triangle{BOB^{\prime}}\)。

したがって、物体と像の高さの比は\(AA^{\prime}:BB^{\prime} = OA:OB=a:-b\)となります。

そして、\(\triangle{OF^{\prime} C}\)と\(\triangle{BF^{\prime} B^{\prime}}\)に注目します。\(\angle OF^{\prime} C\)と\(\angle BF^{\prime} B^{\prime}\)は共通の角であり、\(\angle F^{\prime} OC\)と\(\angle F^{\prime} BB^{\prime}\)はともに直角です。2組の角が等しいので、2つの三角形は相似です \(\triangle{OF^{\prime} C}\sim \triangle{BF^{\prime} B^{\prime}}\)。

したがって、高さの比は\(OC:BB^{\prime} = OF^{\prime}:BF^{\prime}=f:f-b\)です。

 

ここで、物体から真っすぐ進んだ光がレンズを通して焦点を通るので、\(AA^{\prime}=OC\)となっています。以上によって、

\[AA^{\prime}:BB^{\prime} =a:-b\]

\[OC:BB^{\prime} =f:f-b\]

をまとめれば、

\[a:-b=f:f-b\]

です。比の定義から、

\[a(f-b)= -b f\]

で、\(abf \neq 0\)で割ると

\[\frac{f-b}{bf} = – \frac{1}{a}\]

となり、整理すれば

\[\frac{1}{a}+\frac{1}{b} = \frac{1}{f}\]

とレンズの公式が得られました。

ちなみに、倍率は\(AA^{\prime}:BB^{\prime} =a:-b\)なので、物体を基準とするとき\(m = |\frac{b}{a}|\)です。

 

例えば、焦点距離が6cm、物体とレンズの距離が4cmのとき、できる虚像とレンズの距離はいくつでしょうか。

\[\frac{1}{4}+\frac{1}{b} = \frac{1}{6}\]

なので、\(\frac{1}{b}= -\frac{1}{12}\)、\(b=-12\)です。よって、求める距離は12cmであるとわかりました。

倍率を求めると、\(m = \frac{12}{4} =3\)で、3倍になっていますね。

 

以上、幾何学、相似の応用として、レンズの公式の証明してきました。

僕が学校で幾何学を学んだときはパズルのような印象を受けましたが、レンズのような応用を知ると面白いですね。

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。

 

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