共分散0(無相関)だが独立でない確率変数の例

どうも、木村(@kimu3_slime)です。

今回は、共分散0(無相関)だが独立でない確率変数の例を紹介します。

一般に、独立であるならば、共分散が0になるという性質があります。その逆は必ずしも成り立たないという例です。

 

\(X,Y\)を単位円盤\(D^1=\{(x,y)\mid x^2+y^2 \leq 1\}\)上の一様分布に従う確率変数としましょう。単位円盤の面積は\(2\pi\)なので、同時確率密度関数は

\[f_{X,Y}(x,y)= \begin{cases}\frac{1}{2\pi} & ((x,y)\in D^1 )\\0 & (それ以外)\end{cases}\]

となります。

 

それぞれの周辺確率密度関数を求めると、\(-1 \leq x,y \leq 1\)のとき、

\[\begin{aligned} f_X(x)&= \int_{-\infty}^\infty f_{X,Y}(x,y)dy\\&= \int_{-\sqrt{1-x^2}}^{\sqrt{1-x^2}} \frac{1}{2\pi} dy \\&= \frac{\sqrt{1-x^2}}{\pi}  \end{aligned}\]

\[\begin{aligned} f_Y(y)= \frac{\sqrt{1-y^2}}{\pi}  \end{aligned}\]

です。

\(f_{X,Y}(0,0)=\frac{1}{2\pi}\)、\(f_X(0)f_Y(0)=\frac{1}{\pi^2}\)なので、\(f_{X,Y}(0,0)\neq f_X(0)f_Y(0)\)が成り立ち、\(X,Y\)は独立ではありません

 

一方、期待値を計算すると

\[\begin{aligned} E(X) &=\int_{-\infty}^\infty xf_X(x)dx \\&= \int_{-1}^0 x \frac{\sqrt{1-x^2}}{\pi}dx + \int_{0}^1 x \frac{\sqrt{1-x^2}}{\pi}dx \\ &=-\int_{0}^1 x \frac{\sqrt{1-x^2}}{\pi}dx +\int_{0}^1 x \frac{\sqrt{1-x^2}}{\pi}dx \\&=0\end{aligned}\]

\[E(Y)=0\]

です。極座標変換\(x= r\cos \theta ,y=r\sin \theta\)とすると、変換倍率\(r\)がかかることにに気をつけて、

\[\begin{aligned} E(XY)&= \int_{-\infty}^\infty \int_{-\infty}^\infty xy f_{X,Y}(x,y)dydx \\&= \int_{0}^{2\pi}\int_{0}^1 r\cos \theta r \sin \theta\frac{1}{2\pi} r dr d\theta \\&= \int _{0}^1 \frac{r^3}{2\pi}dr \int _0 ^{2\pi} \frac{1}{2}\sin 2\theta d\theta \\&= \int _{0}^1 \frac{r^3}{2\pi}dr  [-\frac{1}{4}\cos 2\theta ]_0 ^{2\pi}\\&=0\end{aligned}\]

となります。途中、三角関数の加法定理(二倍角の公式)を用いました。

よって、共分散は

\[\begin{aligned} \mathrm{Cov}(X,Y)&= E(XY)-E(X)E(Y) \\&=0 \end{aligned}\]

です。相関係数は\(\mathrm{Cor}(X,Y)= \frac{\mathrm{Cov}(X,Y)}{\sqrt{V(X)}\sqrt{V(Y)}} =0\)です。

以上によって、\(X,Y\)は独立だが、共分散が0となる(相関係数が0、無相関)となることがわかりました。

 

以上、共分散0(無相関)だが独立でない確率変数の例を紹介してきました。

2変数として一様分布でも、考えている領域が正方形でないと、各変数の分布は非一様になるので独立ではありません。一方、周辺確率密度関数の形と、円盤の対称性から、各期待値が0となって、結果的に共分散が0になっていますね。

この例を通じて、独立性は共分散0を導く強力な仮定ですが、共分散0は必ずしも独立性を保証しないことを感じてもらえたら嬉しいです。

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。

 

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