指数関数の微分の公式の覚え方、導出:指数関数の定義

どうも、木村(@kimu3_slime)です。

今回は、指数関数(一般のべき乗)の微分の公式

\[ \begin{aligned}\frac{d}{dx}a ^{x} = (\log_e a)a^x\end{aligned} \]

の覚え方、導出を紹介します。

べき乗関数の微分

\[ \begin{aligned}\frac{d}{dx }x^a = ax^{a-1}\end{aligned} \]

とは別物なので注意してください。

 



特殊なケース

まず重要なケースとして覚えておきたいのが、\(a=e\)(オイラー数、ネイピア数)のとき

\[ \begin{aligned}\frac{d}{dx} e^x =e^{x}\end{aligned} \]

という式です。微分について最も単純で基本的な規則と言えます。

対数関数の定義から、\(\log_e e= 1\)なので、

\[ \begin{aligned}\frac{d}{dx} e^{x} = (\log_e e)e^{x}\end{aligned} \]

と見てみると良いでしょう。これは一般的な指数関数の微分の公式と一致していますね。

そもそも、指数関数の底に\(e\)という数を使うのは、このような単純な式が導かれるからです。

詳しくは:なぜe(オイラー数)を学ぶ? 指数関数、対数関数の微分を単純化

 

指数関数の定義

さて、一般的な指数関数の微分の覚え方ですが、簡単な方法はないでしょうか。

\[ \begin{aligned}\frac{d}{dx}a ^{x} = (\log_e a)a^x\end{aligned} \]

という形は、どうやって思い出せば良いでしょうか。

 

大事なのは、指数関数\(a^x\)の定義を知っておくことだと思います。\(x\)が自然数・整数のときは、単なる積を計算するだけですが、\(x\)は実数に対して定義されています。

\[ \begin{aligned}a^{x}:= e^{(\log_e a) x}\end{aligned} \]

です。自然指数関数、自然対数関数を既知として、この関数は定義できますね。

どうしてこの形で定義するのでしょうか。まず形式的に

\[ \begin{aligned}y=a^{x}\end{aligned} \]

と置いて、\(x\)を既知の関数で表せないか考えます。両辺の\(e\)を底とする対数(自然対数)を取りましょう。すると、

\[ \begin{aligned}\log_e y = \log _e a^{x}  \end{aligned} \]

となりますが、両辺を\(\log _e a\)で割り、対数の底の変換公式が成り立つとすると、

\[ \begin{aligned}\frac{\log_e y}{ \log_e a} = \frac{\log _e a^{x}  }{\log_e a} \\= \log _a a^x =x\end{aligned} \]

なので、

\[ \begin{aligned}\log_e y = (\log_e a)x\end{aligned} \]

で、両辺の指数関数を取れば

\[ \begin{aligned}y= e^{(\log_e a) x}\end{aligned} \]

という形が得られました。

 

合成関数の微分

指数関数の定義

\[ \begin{aligned}a^{x}:= e^{(\log_e a) x}\end{aligned} \]

がわかっていれば、合成関数の微分

\[ \begin{aligned}\frac{d}{dx}(g(f(x)))= \frac{dg}{dx}(f(x)) \frac{df}{dx}(x)\end{aligned} \]

を使って、指数関数の微分の式が導出できます。

 

つまり、\(g(x)=e^{x}\)、\(f(x)= (\log_e a)x\)と置くことで、\(a^{x} =g(f(x))\)と表せます。そこで合成関数の微分から、

\[ \begin{aligned}\frac{d}{dx}a^x  = \frac{d}{dx}(g(f(x)))  \\ = \frac{dg}{dx}(f(x)) \frac{df}{dx}(x) \\ =e^{f(x)}(\log_e a)  \\ =(\log_e a)  e^{(\log_e a)x} \\ =(\log_e a) a^{x}\end{aligned} \]

と導くことができました。

 

対数微分法

もうひとつの方法として、対数微分法によって導くことができます。

\[ \begin{aligned}y=e^{(\log_e a) x}\end{aligned} \]

と置いて、両辺の自然対数を取れば

\[ \begin{aligned}\log_e y = (\log_e a) x\end{aligned} \]

です。両辺を\(x\)について微分すると、

\[ \begin{aligned}\frac{y^{\prime}}{y} = \log_e a\end{aligned} \]

なので、

\[ \begin{aligned}y^{\prime} = \frac{d}{dx} a^{x} \\ = (\log_e a) y = (\log_e a)a^{x}\end{aligned} \]

と導けます。

 

以上、指数関数の微分の公式の覚え方、導出を紹介してきました。

自然対数の微分を\(\frac{d}{dx}e^{x} =(\log_e e) e^{x}\)として見れると、一般的な形に検討はつけやすいかと思います。

きちんと導けるためには、指数関数の定義\(a^{x}:= e^{(\log_e a )x}\)を知っておくことです。それを知っていれば、合成関数の微分、対数微分法によって導けます。結果だけでなく、関連する内容や導出も知っておくと、より覚えやすくなるでしょう。

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。

 

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