どうも、木村(@kimu3_slime)です。
微積分学では、商の微分
\[ \begin{aligned}(\frac{f(x)}{g(x)})^\prime = \frac{f^{\prime}(x)g(x) -f(x)g^\prime (x)}{(g (x))^2}\end{aligned} \]
を学ぶかと思います。少し複雑な形に見えるかもしれませんが、他の微分法則から導けるものです。今回は、その覚え方・導出を紹介します。
商の微分の覚え方
まず、\(\frac{1}{g(x)}\)の微分がどうなるか考えてみましょう。結果は
\[ \begin{aligned}(\frac{1}{g(x)})^\prime = -\frac{g^\prime (x)}{(g(x))^2}\end{aligned} \]
です。
なぜでしょうか。\(h(x)= \frac{1}{x}=x^{-1}\)の微分は、\(h^\prime (x) = (- 1)x^{-2}= -\frac{1}{x^2}\)ですね。そして、逆数\(\frac{1}{g(x)}\)を\(h(g(x))\)という合成関数として見れば、合成関数の微分法則\(( h(g(x)))^\prime= h^\prime(g(x)) g^\prime (x)\)から
\[ \begin{aligned} (\frac{1}{g(x)}) ^\prime &= ( h(g(x)))^\prime \\&= h^\prime(g(x)) g^\prime (x) \\&= -\frac{1}{(g(x))^2} g^\prime (x) \end{aligned} \]
となりました。
以上の結果と積の微分\((f(x)g(x))^\prime= f^\prime (x)g(x)+ f(x)g^\prime (x)\)を使って、商の微分を計算してみましょう。つまり、\(\frac{f(x)}{g(x)}= f(x) \cdot \frac{1}{g(x)}\)という積として見て微分するわけです。すると、
\[ \begin{aligned} (\frac{f(x)}{g(x)})^\prime&= f^\prime (x) \frac{1}{g(x)} +f(x)(\frac{1}{g(x)})^\prime \\&= \frac{f^\prime (x) g(x)}{(g(x))^2} + f(x) (-\frac{g^\prime (x)}{(g(x))^2} ) \\ &=\frac{f^{\prime}(x)g(x) -f(x)g^\prime (x)}{(g (x))^2}\end{aligned} \]
と導けました。
以上、商の微分の覚え方を、合成関数の微分、積の微分を使って紹介してきました。
今回はかなり丁寧に導出しましたが、わかっている部分は簡略化すれば、覚えるべきなのは合成関数の微分・積の微分だけで十分であることに気づくことでしょう。
もちろん、商の微分の形そのものを覚えて計算するのも良いですが、その形に納得するためにも導出・証明を知っておくと良いでしょう。
木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。
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