和の公式(1乗、2乗、3乗)の微積分による導出

どうも、木村(@kimu3_slime)です。

高校数学の数列の分野では、\(\sum k ,\sum k^2 ,\sum k^3\)のような1乗、2乗、3乗の和の公式を学びます。

数列は関数と似ているという話を以前しましたが、今回は和の公式を微積分の立場から導出してみましょう。

 

和の公式とは

自然数の1乗、2乗、3乗をそれぞれ足していった和は、

\[\sum_{k=1} ^n k = \frac{1}{2} n (n+1)\]

\[\sum_{k=1} ^n k^2 = \frac{1}{6} n (n+1)(2n+1)\]

\[\sum_{k=1} ^n k^3 = \{\frac{1}{2} n (n+1)\}^2\]

と表され、和の公式と呼ばれています。

1番目の式は、公差が1の等比数列の和ですし、100までの数を足すガウスのエピソードで有名です。一方、2乗や3乗の和のなす数列は、等差数列でも等比数列でもなく、このような形の式になることは一般論からは導けません。

僕は大学受験勉強では、1乗と2乗和の式の形は覚えて、3乗和は1乗和の2乗となっている、と覚えて問題を解いていた気がします。数列の和に関する問題は、これらの和の公式に帰着できることが多いんですよね。

 

どうして、このような形が導かれるのでしょうか。

2乗の和の公式の導出については、教科書では\((k+1)^3-k^3 = 3k^2+3k+1\)という展開式を利用することでしょう。この式において、両辺について\(k\)が\(1\)から\(n\)までの和を取ると、うまくキャンセルが起こって\(\sum_{k=1} ^n k^2\)が求められます。

3乗の和の公式についても、\((k+1)^4 – k^4\)という1つ次数を上げた数の差の展開式を利用することで、求められます。

これらの方法で求めるのも良いですが、今回は微積分にもとづいた方法で和の公式を導出してみたいと思います。

以降の議論は、「積分を使って自然数のべき乗の和を求める私」を参考にさせていただきました。

 

和の公式の導出

今回の方法は、数列の和を求める問題を、都合の良い多項式関数を求める問題に置き換える方法です。

 

まずは、1乗の和\(\sum_{k=1} ^n k = \frac{1}{2} n (n+1)\)について考えてみましょう。

仮に\( \int _{x-1} ^{x} P_1 (t) dt  = x\)を満たすような多項式関数\(P_1\)があるとしましょう。幅1の区間で積分すると、その右側端点の値をちょうど返すような関数です。

それを使えば、\(x\)が\(1,2,\dots , n\)の場合のときに両辺を足していくことで、

\[\begin{eqnarray} 1+2+\cdots + n  &=& \int_0 ^1 P_1 dt +\int_1 ^2 P_1 dt +\cdots +\int _{n-1}^n P_1 dt \\ &=& \int _0 ^n P_1 dt \end{eqnarray}\]

と積分の計算に置き換えられます。

実際、\(P_1 (t) = t +a\)と置いてみて、\( \int _{x-1} ^{x} P_1 (t) dt  = x\)を満たすような\(a\)を探してみましょう。すると、左辺は\[\begin{eqnarray} [\frac{1}{2} t^2 +at]^x _{x-1} &=& -\frac{1}{2} (-2x +1) +a \\ &=& x  – \frac{1}{2} +a\end{eqnarray}\]

なので、\(a = \frac{1}{2}\)とすれば良いです。

このとき、

\[\begin{eqnarray} \sum_{k=1} ^n k &= &\int _0 ^n P_1 (t)dt \\ &=& \frac{1}{2}[t^2 +t]^n _0  \\ &=& \frac{1}{2} n(n+1)\end{eqnarray}\]

となり、1乗の和の公式が求められました。

 

1乗の和の公式をこうして求めるのは回り道ですが、2乗、3乗も同様の方法が適用できるのが便利です。

同時に進めましょう。

\[ \int _{x-1} ^{x} P_2 (t) dt  = x^2\]

\[\int _{x-1} ^{x} P_3(t) dt  = x^3\]

を満たすような多項式があったとします。\(x\)が\(1,2,\dots ,n\)のときの等式を考えて和を取れば、

\[\sum_{k=1} ^n k^2 = \int _{0} ^{n} P_2 (t) dt\]

\[\sum_{k=1} ^n k^3 = \int _{0} ^{n} P_3(t) dt\]

という積分計算に帰着されます。

\(P_2(t) = t^2 +c_1t+c_0\)、\(P_3(t) = t^3 +d_2 t^2 +d_1 t +d_0\)として、係数を求められるか考えましょう。

\[\begin{eqnarray} \int _{x-1} ^{x} P_2 (t) dt  &=& [\frac{1}{3} t^3 + \frac{1}{2} c_1 t^ 2 +c_0 t]_{x-1} ^x  \\ &=& -\frac{1}{3}(-3x^2+3x -1) \\ && -\frac{1}{2} c_1(-2x +1) +c_0 \\ &=& x^2+(c_1-1)x +(\frac{1}{3}-\frac{1}{2} c_1 +c_0) \end{eqnarray} \]

なので、\(c_1 = 1\)、\(c_0 =\frac{1}{6}\)です。また、

\[\begin{eqnarray} \int _{x-1} ^{x} P_3 (t) dt  &=& [\frac{1}{4} t^4 + \frac{1}{3} d_2 t^3 +\frac{1}{2} d_1 t^ 2 +d_0 t]_{x-1} ^x  \\ &=&  -\frac{1}{4}(-4x^3+6x^2-4x +1) \\ &&-\frac{1}{3}d_2 (-3x^2+3x -1) \\ && -\frac{1}{2} d_1(-2x +1) +d_0 \\ &=& x^3  +(-\frac{3}{2}+d_2)x^2\\&&+(1-d_2+d_1)x \\ &&+(-\frac{1}{4}+\frac{1}{3} d_2-\frac{1}{2} d_1+d_0) \end{eqnarray} \]

なので、\(d_2 = \frac{3}{2}\)、\(d_1 =\frac{1}{2}\)、\(d_0 =0\)とすれば良いです。

よって、積分を計算すれば

\[\begin{eqnarray} \sum_{k=1} ^n k^2 &=& \int _{0} ^{n}(t^2 +t +\frac{1}{6}) dt \\ &=& [\frac{1}{3} t ^3 +\frac{1}{2} t^2 +\frac{1}{6} t]_0^n  \\ &=& \frac{1}{3} n ^3 +\frac{1}{2} n^2 +\frac{1}{6} n \\ &=&\frac{1}{6} n (2n^2+3n +1) \\&=& \frac{1}{6}n (n+1)(2n+1) \end{eqnarray}\]

であり、

\[\begin{eqnarray} \sum_{k=1} ^n k^3 &=& \int _{0} ^{n}( t^3 +\frac{3}{2} t^2 +\frac{1}{2} t )dt  \\ &=& \frac{1}{4}n^4 +\frac{1}{2}n^3+ \frac{1}{4}n^2 \\ &=& \frac{1}{4}n^2 (n^2 +2n +1) \\&=&\{\frac{1}{2} n (n+1)\}^2 \end{eqnarray}\]

と求めることができました。

 

今回は

\[ \int _{x-1} ^{x} P_1 (t) dt  = x\]

\[ \int _{x-1} ^{x} P_2 (t) dt  = x^2\]

\[ \int _{x-1} ^{x} P_3 (t) dt  = x^3\]

を満たすような多項式を探しましたが、これにはベルヌーイ多項式という名前がついています。積分範囲は少しずれていますが。

 

以上、自然数のべき乗の和の公式を、微積分を使って導出してみました。

こうしてみると、\((k+1)^3-k^3 = 3k^2+3k+1\)という展開式の両辺で和を取って証明するほうが簡単そうではありますね。ただ、和を取るという点では数列の和も関数の積分も共通する部分があることが、今回の話から感じてもらえたら嬉しいです。

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。

 

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