どうも、木村(@kimu3_slime)です。
最近では、早稲田大学や東洋大学などの経済学部で、数学を入試科目として課すケースが増えてきたようです。たとえ受験生の人気が悪くなってでも、経済学には数学が欠かせないということなのでしょう。
今回は、大学で経済学・金融を学ぶために必要な大学数学の一覧を紹介します。経済学科、金融学科、経営学科向け。
東京大学経済学部の時間割、進学ガイダンスを参考に書いています。僕の大学時代の専門は数学であり、経済・金融に関しては専門でないことをご了承ください。
数学が必要な科目
数学を要する科目としては、次のものが挙げられていました。
- ミクロ経済学、マクロ経済学
- 統計
- ファイナンス
- ゲーム理論
- 計量経済学
具体的にどんな数学が必要なのか、見ていきましょう。
教養数学
教養数学は、大学1年で教養として学ぶことが多い数学科目です。
微分積分学
理論的な経済学では、現実の現象を数式化・モデル化して考えます。
そこで、指数関数や対数関数など、初等関数を知っておくことは欠かせません。そうした関数の分析として、微分と積分の理論が広がっています。
微分・偏微分の考え方は、変化を捉えるための基礎です。ミクロ・マクロ経済学では、効用や費用といった関数の、最大化・最小化を考えることができます。
積分の理論は、統計学や確率分布を理解するのに役立つでしょう。
微分方程式の知識も、進んだ学習をする上では必要となるでしょう。確率解析・確率微分方程式のベースの理解となります。
統計学
マクロ経済学ではそうですが、産業・都市・国レベルの膨大なデータ・統計を読み書きする必要があります。それにあたって統計学の知識は欠かせません。
データと経済モデルの整合性ついて調べようという考え方は、計量経済学につながっていくでしょう。
線形代数学
人間社会はマルチプレイヤーで、何かの経済現象を調べようとすれば、いくつもの変数を含んでいます。
微積分学や統計学でも「たくさんのデータを簡単に表す」必要があり、それをベクトルと行列の考え方が果たしています。線形代数学は、多変数を表すための簡単な言語の役割を果たしています。
計量経済学では、まず線形モデルという比較的簡単なモデルを考えることが多いでしょう。それは行列によって表される数式ですが、そのことを理解するのにも線形代数の考え方が必要です。
専門数学
確率論
人間や企業、国の行動、株価の変動は、ときには不確実で、確率的に捉えた方が予想しやすいことがあります。
行動経済学の分野ではプロスペクト理論という考え方があるようですが、人間の確率の捉え方を知るのにも確率の理解は必要です。
統計学を学ぶときに、初歩的な確率論もセットで学ぶことになるでしょう。
株式や金利、通貨といったものは金融派生商品(デリバティブ)と呼ばれますが、その分析には確率解析・確率微分方程式という進んだ確率の考え方が必要となるでしょう。例えばブラック・ショールズ方程式は有名ですね。
確率解析の数学的な基礎としては、集合論、位相空間論、ルベーグ積分論(測度論)などがありますが、敷居が高いでしょう。興味に応じて取り組むので良いと思います。
金融工学や数理ファイナンスを専門としたり、アクチュアリーやクオンツといった職業を目指す場合は、確率や統計に関してより進んだ勉強が各自求められるでしょう。
集合論
ゲーム理論をきちんと理解したいなら、集合論の知識が役立つでしょう。
例えば投票行為の分析には、「社会的選好」と呼ばれる概念があります。それは集合の言葉、順序関係について知っておくと、恐れずに理解できるでしょう。
以上、経済学・金融を学ぶために必要な大学数学を紹介してきました。
もし数学が苦手だとしても、できる範囲で少しでも学んでおくと、その後の人生で経済・金融の理解にきっと役に立つと思います。
木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。
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