マイナス乗、ゼロ乗とは:指数法則を知ろう

どうも、木村(@kimu3_slime)です。

高校数学では、マイナス乗やゼロ乗という考え方が登場します。

「マイナス回かけるってどういうこと?」という疑問を持つ人向けに、マイナス乗・ゼロ乗とは何か、どうしてそう考えるか(指数法則)を紹介します。\(10\)のべき乗を例にするので、イメージしやすいかと。

 

マイナス乗とは何か

まず、プラス乗をおさらいしましょう。\(10\)の2乗とは、\(10\)を2回かけることで、

\[10^2 =10 \times 10 =100\]

と表すのでした。同様にして、\(10^3=1000\)、\(10^4 =10000\)と、\(10\)のプラスのべき乗(自然数乗)を考えることができますね。

そして、同じ数のべき乗同士の掛け算には、指数法則と呼ばれる法則が成り立っています。\(10^2\)に\(10^3\)をかけたら、合計で\(10\)を5回かけることになりますよね。

\[10^2 \times 10^3 =10^5\]

一般には、

\[10^n \times 10 ^m = 10^{n+m}\]

という法則が成り立ちます。\(10\)に限らず、どんな正の実数\(a\)についても、

\[a^n \times a ^m = a^{n+m}\]

が成り立つというのが、べき乗の基本的な性質です。文字で書いてあると怖く思うかもしれませんが、同じ数を\(n\)回かけたものに\(m\)回かけたものをかければ、合計で\(n+m\)回かけたものになる、というのは当然ですよね。

 

\(a^n \times a ^m = a^{n+m}\)という式は、プラス乗同士の掛け算は、その指数部分を足したプラス乗になることを示しています。どうやってもここからはマイナス乗の考え方は出てきません。

マイナス乗の考え方は、指数法則というルールを拡張しようとする考え方割り算から生まれてきます。

\(10^4\)を\(10^2\)で割ってみるとどうなるでしょうか。

\[10^4\div 10^2 = \frac{10^4}{10^2} \\ =\frac{10\times10\times10\times10}{10\times10} =10\times 10 = 10^2\]

もともと10を4回かけていたものから、\(10^2\)で割ると、2回分の掛け算がキャンセルされて、結果として\(10^2\)が得られました。割ることで、指数が小さくなっています

短く表せば\(\frac{10^4}{10^2}= 10^{4-2} =10^2 \)で、べき乗同士の割り算は指数の引き算になるという性質を持っています。少し一般的に書けば、

\[\frac{10^n}{10^m} =10^{n-m}\]

という指数法則が成り立っています。今は\(n=4,m=2\)で、\(n-m=2 \)と指数がプラスになるケースを考えていました。

では、割る数の指数の方が大きいケースを考えてみたらどうなるでしょうか?

\[10^2\div 10^4 = \frac{10^2}{10^4} \\ =\frac{10\times10}{10\times10\times10\times10} =\frac{1}{10\times 10 }= \frac{1}{100}= 0.01\]

この結果をべき乗の記法で簡単に表すことはできないでしょうか。\(\frac{10^n}{10^m} =10^{n-m}\)という指数法則がいつでも成り立つとしたら、\( \frac{10^2}{10^4}= 10^{2-4} =10^{-2} =\frac{1}{10^2}\)と考えるのが良さそうです。

こうしてマイナスのべき乗の捉え方が見つかりましたね。\(10\)のマイナス\(k\)乗とは、

\[10^{-k} := \frac{1}{10^k}\]

と\(10\)で\(k\)回割ることと定義します(\(k\)は自然数)。マイナス乗には分数が登場するというより、「同じ数で何回か割ると指数が下がる」という性質があるから、それに合わせて割ることで定義している、という見方が良いでしょう。こうやってマイナス乗を定義すると、

\[\frac{10^2}{10^4} =10^2 \times \frac{1}{10^4} \\=10^2 \times 10^{-4} = 10^{-2}\]

と、指数法則\(\frac{10^n}{10^m} =10^{n-m}\)を使って割り算を含むケースも統一的に計算できます。これがマイナス乗を考えるメリットです。

マイナス乗を使うと、ごく小さな数も指数記法\(10^{-k}\)で表せます。例えば、1.5mmの大きさのミジンコは、メートルを単位にすれば、\(1.5 \times 10^{-3}\) mです。物質を構成する小さな粒子の一種、電子の重さは、約\(9\times  10^{-31}\) kgです。\(0.000\cdots 9\)kgと書かずに、\(0\)が\(31\)回登場する小さな数なのだな、とわかるのは便利ですね。

参考:近似値を正確に:指数記法と有効数字、丸めとは何か

 

\(10\)に限らず、正の実数\(a\)に対して、

\[a^{-k} := \frac{1}{a^k}\]

と定めると、

\[\frac{a^n}{a^m} =a^{n-m}\]

という指数法則が、指数\(n-m\)がマイナスとなるようなケースでも成り立ちます。

 

ゼロ乗とは何か

マイナス乗の考え方は、ゼロ乗の考え方とセットで考えるとわかりやすいでしょう。

\(10\)を何回かかけたり、割ったりした結果を並べてみます。

\[\frac{1}{100},\frac{1}{10},1,10,100\]

これを指数記法で表すと、

\[10^{-2},10^{-1},10^{0},10^1,10^2\]

と統一感を持って表せました。

ゼロ乗も、指数法則\(\frac{10^n}{10^m} =10^{n-m}\)がいつでも成り立つような定義の仕方をしています。\(n=m\)、例えば\(10^1\)を\(10^1\)で割れば、結果は\(\frac{10^1}{10^1}=1\)ですが、これを

\[10^{0}:=1\]

と定義して表すのです。そうすれば、例えば\(10^{0}\times 10^{50}=10^{50}\)、\(\frac{10^{20}}{10^{20}}=10^{0}\)といった等式が成り立ちます。

\(10\)に限らず、どんな正の実数\(a\)に対して、それ自身で割れば\(\frac{a^1}{a^1}=1\)なので、

\[a^{0} :=1\]

と定義します。ゼロ乗が1になる理由は、ある数をそれ自身で割ればいつでも1になる、ということに対応しているわけです。

 

以上、数のマイナス乗、ゼロ乗について、指数法則との関係を交えながら紹介してきました。マイナス乗やゼロ乗は、ただ

\[10^{-k} = \frac{1}{10^k}\]

\[10^{0} =1\]

と計算すればいいんだ、という考え方をしていると、「結局マイナス乗ってなんなのだ?」という気持ちになるでしょう。大事なのは、べき乗=何回か掛けるという定義から導かれる

\[10^n \times 10 ^m = 10^{n+m}\]

\[\frac{10^n}{10^m} =10^{n-m}\]

という指数法則です。この法則がいつでも成り立つように、マイナス乗やゼロ乗は定義されています。指数法則を基準にべき乗の考え方を拡張していることを知れば、統一的にマイナス乗やゼロ乗の考え方はつかめるでしょう。

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。

 

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